【2021/02/01】

 人生で初めて貧困や栄養失調の子どもを目の当たりにして「発展途上国の人々の暮らしをよくしたい」と思ったのは、大学1年の春休みに中米グアテマラに語学留学した時だった。

 その後、コスタリカやコロンビアにある日本大使館での6年間の勤務を経て、憧れの国際協力機構(JICA)に活動の場を変え、今の自分の原点となるグアテマラで市民の安全に関わるプロジェクトを担当させてもらった。

 世界遺産に登録されているマヤ文明のティカル遺跡を目当てに世界中から観光客が訪れるグアテマラは観光立国でもあるが、この国の治安の悪さは名産のコーヒーと並んで有名である。殺人発生率で見ると一昔前まで世界のワースト10に入る常連国であり、治安改善のハードルは高かった。

 治安をよくするために何をすべきか?たどり着いた答えは、日本式の「地域警察」であった。「防犯」を重視してこなかったグアテマラに、警察官と住民の手で地域の安全を守る「地域警察」の概念を普及させ、犯罪を防ぐため警察官の能力強化を図った。

 1980年代に市民抑圧の象徴であった警察官の信頼回復が一番の壁であったが、住民との交流、子供防犯教室、巡回訪問の継続により次第に信頼が生まれ、住民からの情報提供も増加した。これが銃器・薬物不法所持者の摘発につながり、犯罪を未然に防ぐ事例として積み重なっていった。私も調整役としてプロジェクトを陰で支え、市民目線で警察官に助言し、喜びを分かち合った。

 プロジェクト対象地区の殺人発生数は、2017年の125件から19年の49件と大幅に減少し、日本の援助が現地の治安改善に大きな役割を果たした。世界に誇れる安全な国「日本」の経験により、地球の裏側のグアテマラの人々の暮らしに安心を届け、笑顔をもたらす仕事に携わることができて幸せに思う。今後も住みやすい世界を作る担い手として国際協力の道で活躍したい。

プロジェクトを通して警察官自身も変わり、笑顔が見られるようになった

◎関川実来さん(新潟市西区出身)関川さんは1982年生まれ。グアテマラにはJICA企画調査員などとして通算4年半赴任。現在は新潟市西区在住で7歳の娘を持つ母です。