当選確実となり、市議らに握手をして回る桜井雅浩さん=11月17日午後9時前、柏崎市田中
当選確実となり、市議らに握手をして回る桜井雅浩さん=11月17日午後9時前、柏崎市田中

 11月17日に投開票された新潟県の柏崎市長選は現職の桜井雅浩さん(62)が、自営業の新人阿部由美子さん(62)に2万票超の大差をつけ、3選を果たした。東京電力柏崎刈羽原発の再稼働問題は桜井さんが条件付き容認、阿部さんが反対と主張は分かれた。桜井さんが市議や経済界、後援会による組織的な動きを展開したのに対し、阿部さんは市民団体のメンバーに支えられ草の根で対抗。選挙態勢も対照的な戦いとなった。

 17日夜、3選が確実となった桜井さんは、選挙結果をどう受け止めているか報道陣に問われ、「私は(柏崎刈羽)原発を7基全部動かしたい人と、7基即時廃炉にしたい人の間の細い道を行くと申し上げてきた。あったのは細い道ではなくブロードウェイ(広い道)で、私の考え方を理解してくれる人に投票してもらった」と自信に満ちた表情を見せた。

 一方で、自身の勝利が原発再稼働に与える影響に話が及ぶと表情は曇り、「残念ながらあまり影響はない。県、花角(英世)知事の考えは変わらず、であるわけなので」と県の対応に不満をにじませた。

◆異例ずくめの選挙… 姿見えぬ相手に戸惑いも

 今回の選挙は異例ずくめだった。告示4日前と告示日に、それぞれ新たな立候補者が登場。有権者の関心が高まる時間はなく、投票率は記録が残る1947年以降で過去最低を記録した。

 他の候補が街宣車を使わずに活動するなどしたため、桜井さんの陣営には戸惑いもあった。相手の動きがなかなか見えず、陣営幹部は「空気を相手に戦っているような気持ちだった」と振り返る。

 陣営は選挙期間の当初から「今回は圧勝以外にない。政策を進めるために、多くの有権者に支えられた市長だと示す必要がある」(与口善之県議)と、個人演説会などで支援者に絶えずハッパをかけてきた。

 フル回転したのが、...

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