【2021/02/01】

 2006年の渡米以来、日本酒のプロモーションを主な仕事とし、ニューヨークを拠点としながら西はホノルル、東はロンドンまで、世界の大都市を飛び回っていました。

 しかし、新型コロナウイルス禍は私の仕事のやり方を大きく変えました。一番大切な店での対面営業は感染予防対策上困難になり、商品を紹介する機会も激減しました。

 ただ、ワイン店は食料販売店同様に必要不可欠な業種とみなされ、ロックダウン下でも営業していましたが、店を見渡すとお客は短い時間で品を選び、店員との会話もほとんどなし。

 「話し好きのニューヨーカーは一体どこへ」とも思いましたが、「では自分はどうなのか」と自問すると彼らのことは言えません。決まった食料品店へ行き、決まった商品を棚から籠へ入れる。「できるだけレジに並ばず、早く会計を済ませたい」という思いでした。店の客と同じ行動をしていたのです。

 短時間で買い物を済ませる傾向が、新型ウイルス禍での私の仕事に大きく影響していたことにも気付きました。私がプロモーションしているブランドは米国進出が早く、幸いにも米国の日本酒市場である程度の認知度とシェアがあります。短い時間で買い物を済ませる人に選んでもらえる商品となってました。

 商品の良さを発信する「インフルエンサー」という言葉をよく耳にしますし、プロモーション活動にはそれが必要とも言われてます。それは主に会員制交流サイト(SNS)で広がっていくと感じてました。

 新型ウイルス禍は、私にとってのインフルエンサーが店の店員や客であることを気付かせてくれました。営業などの地道な過去の活動が、点から線になりかけているのを実感しながら21年を迎えました。

 「これおいしいね!」。お客さんの生の声が聞ける日が待ち遠しいです。

アイマスクと乗馬用のゴーグル。新型ウイルス禍で防護用物資が入手困難となり、それぞれ口用マスクとフェースシールドとして代用した

◎金井進一さん(新潟市東区出身)金井さんは1967年生まれ。新潟南高校卒業。大学卒業後、日米の酒類輸入業を経て、現在は「菊水酒造」の米国現地法人に勤務しています。