クリスマスや年末が近づく中、新潟県の佐渡島内各地をイルミネーションが彩っている。「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録の喜びや、集落活性化への願いなど、作り手たちの思いが込められた光が、訪れた人を優しく照らしている。

◆「重伝建」と世界遺産、町並み彩る「二つのお祝い」 小木町・稲荷町地区

 小木町の稲荷町地区では、「佐渡島(さど)の金山」の世界遺産登録などを祝い、恒例のイルミネーションが飾られている。2024年8月に周辺の町並みが国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。二つの「お祝い」の意を込め、24年は過去最多の電球数で町を彩っている。

重伝建選定と「佐渡島の金山」世界遺産登録を祝うイルミネーション=佐渡市小木町の稲荷町地区

 地域住民らでつくる「稲荷町めだかの会」が8年ほど前から手がける。かつて相川地区で採れた金銀を小木港まで運んだ「金の道」沿いでは、向かい合う民家の2階部分に電飾を渡してトンネルのようにした。稲荷町集会所の広場に設置されたベンチでは、トナカイやクリスマスツリーを背景に写真を撮ることができる。

高さ約5メートルのツリーやトナカイが飾られた稲荷町集会所の広場=佐渡市小木町の稲荷町地区

 「稲荷町めだかの会」会長の桃井良一さん(77)は「ツリーや電球の数を増やし、今までで一番豪華にした。町を明るくして多くの人が来てもらうと住民も元気になる」と話した。

 25年1月12日まで。午後4時半〜9時。

◆「ぽつんと一軒家」がキラキラ♪“水鏡”も幻想空間演出 三川

 三川の山中にある民家で、2024年もイルミネーションが輝きを放っている。自宅敷地内に約3万個のLEDを飾るのは、木下雅樹さん(72)。辺りは過疎地域で、「山奥のぽつんと一軒家のイルミネーションはここにしかないのでは」と笑顔を見せる。

 10年ほど前、閉店したカラオケ店から譲り受けた電飾で始めた。当初は敷地内の一角にとどめていたが、DIY好きが高じ、LEDを追加購入して年々規模を拡大。「電気容量の関係でこれ以上増やせない」という数まで増やした。

木下雅樹さんの自宅敷地内で輝くイルミネーション=佐渡市三川

 2024年は12月1日に点灯を始め、ツリーやハート、雪だるまなどがチカチカと光る。自宅前の水田では水鏡を楽しめ、クリスマスのBGMがムードを演出する。

 「限界集落に活気を取り戻したい」と始めたイルミネーション。毎年、家族連れや若者が訪れるほか、島外のユーチューバーが宣伝してくれたこともある。木下さんは「こんな山奥に本当にあるのかと、面白がって来てくれる。はしゃぐ子どもの姿を見るとうれしくなる」と話した。

木下雅樹さんの自宅敷地内で輝くイルミネーション。水田が水鏡のように光を映し出している=佐渡市三川

 25年1月上旬ごろまで。午後5時〜午後9時。山田会館(三川1453の1)近く。

◆巨大ツリーに「オニクロース」…島のクリスマスムード盛り上げ 両津湊・おんでこドーム

 両津湊のおんでこドームでは、ステージ上の巨大ツリーや、天井からつるされた赤や緑の照明が、クリスマスムードを盛り上げている。佐渡金山のシンボル「道遊の割戸」、おけさ柿を手にしたタヌキなど佐渡らしさも表現している。

 イルミネーションは6回目で、事業者などでつくる「みなとオアシス佐渡両津実行委員会」が主催。一般から募集したデザインも採用し、サンタクロースの姿をした鬼「オニクロース」の顔、たらい舟などの電飾も飾られている。

照らされたステージに、巨大ツリーなどが飾られている「おんでこイルミネーション」=佐渡市両津湊

 屋根があり天候を気にせず楽しめるのも魅力。子どもたちは光のトンネルをくぐったり、サンタの姿が映るそりに乗ったりして歓声を上げていた。2人の娘と訪れた両津地区の会社員男性(31)は「子どもが楽しみにしていた。期間中、何度も訪れたい」と話した。

 25年1月11日まで。午後5時〜9時。

◆子ども笑顔願って…夕方から輝くオブジェ 相川羽田町

 相川羽田町にある「あいかわぽんぽこホール」では、約10年前から相川商工会女性部がイルミネーションを設置している。ガラス越しにサンタクロースやトナカイのオブジェなどを見ることができる。

 2024年は島民の悲願だった佐渡金山の世界遺産登録が実現した。金山や小判をあしらった飾りでお祝いムードを盛り上げている。

明るい時間帯から点灯がはじまる「あいかわぽんぽこホール」=佐渡市相川羽田町

 学校帰りに近くを通る子どもたちがいることから...

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