新潟地裁
新潟地裁

 水俣病熊本県で1956年に公式確認された病気で、その後、新潟県の阿賀野川流域でも集団発生した。毒性の強いメチル水銀を含む工場排水で汚染された魚介類を食べた人やその胎児が水銀中毒を発症し、亡くなった人も多い。症状は感覚障害や運動失調、視野狭窄(きょうさく)など。外見的な異常は現れずとも、手足のしびれや頭痛などに悩まされ続ける人もいる。被害を訴える新潟市などの男女が、国と原因企業の昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に損害賠償などを求めた新潟水俣病第5次訴訟水俣病被害を訴える新潟市などの男女が2013年12月、国と昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に損害賠償などを求め新潟地裁に提訴した訴訟。原告が水俣病かどうかや、九州に続き新潟県でも水俣病が発生したことに対する国の責任の有無が主な争点となっている。の口頭弁論が3月10日、新潟地裁(鈴木雄輔裁判長)であった。2024年秋に提訴し原告に加わった女性が意見陳述し、「子どもの頃から症状があったが、水俣病と気づかなかった」と訴えた。

 意見陳述したのは、旧津川町出身で新潟市の60代女性。父や親戚が阿賀野川やその支流で取った川魚を食べて育ち「小学生時代から頭痛やめまいに悩んできたが、自分の症状の原因が分からず年を重ねた」などと強調した。

 女性の母は2012年に申請が締め切られた水俣病特措法2004年の水俣病関西訴訟で最高裁が従来の基準よりも広く被害を認め、各地で提訴が相次いだことを受け、与野党の合意で09年7月に施行。救済対象と判断した被害者に、一時金210万円や医療費を支給するとした。1995年の政治解決に続く、第2の「政治解決」と呼ばれる。しかし、申請の受け付けを2年余りで打ち切ったため、多くの人が救済策から取り残された。の対象者で、...

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