6月6日、新潟市中央区のハードオフエコスタジアム。オイシックス新潟アルビレックスBCと巨人とのイースタン・リーグの試合に先立ち、新潟のグルメなどを紹介するセレモニーに「コメパンマン」の姿がありました。
コメパンマンは新潟県の依頼を受けてやなせたかしさんがデザインし、2008年にデビューしました。しかし、県民からの知名度はまだまだのよう。筆者もこの春、NHKの連続テレビ小説「あんぱん」を見ていて、「そういえば、新潟にコメパンマンっていなかったっけ?」と思い出したほどでした。
せっかくやなせさんがデザインしてくれたのに、なかなか見かけないのはなぜなのか。誕生の経緯も含め、新潟県に話を聞きました。
◆パンなのか?米なのか?

そもそも「コメパンマン」とは何者なのでしょうか?「米」なのか「パン」なのか?
話の始まりは17年前。新潟県は食糧自給率のアップに向けた小麦の代用品として、米を粉砕した「米粉」の消費拡大に取り組み始めていました。ゆるキャラによるPR効果を期待し、子どもたちに人気のあるアンパンマンの作者、やなせたかしさんに製作を依頼したのです。
現在、やなせさん側とのやりとりなど詳しい資料は県に残っていないそうです。県を通じ、やなせさんの事務所にあらためて確認したところ「やなせさんは実際に米粉で焼いたパンを食べ、製作に臨んでいた」ということでした。
大きく「米」と書かれた緑色のシャツがユニフォーム。ヘアスタイルと目は米粒をイメージしています。キャラの設定としては「米でつくったこのパンの おいしさみんなにしらせたい どこでもいそいでとんでいく」とあります。

千葉県船橋市の非公認キャラクター「ふなっしー」のように話すことはできません。やなせさんがデザインしてくれたキャラクターではあるものの「アンパンマン」とは一切関係がなく共演はNG。もちろんアニメに登場したこともないそうです。

パンと米、まさかの合体から生まれた「コメパンマン」。デビューは2008年2月の東京マラソンでした。「おなかが減って力が出ない」というランナーたちに新潟県産コシヒカリを使った米粉パンやおにぎりを自ら手渡すなどしました。

普段は新潟県食品・流通課で待機。県主催の米粉PRイベントや自治体・民間からの依頼を受けて出動します。2008年の誕生以来、年10回ほどのペースで県内や全国各地に駆けつけ、知名度アップに努めてきました。
◆活動自粛の日々
ただ、試練の時が訪れます。...