新潟県議会庁舎
新潟県議会庁舎

 重川隆広県議(74)=新潟市西蒲区=が10月に新潟市中央区新光町の県議会庁舎内で、取材していた新潟日報社の30代男性記者に暴行した。記者は首に全治約10日間のけがを負い、23日、新潟署に被害届を提出し、即日受理された。重川県議の代理人は11月5日、新潟日報社の取材に対し、「違法な暴行があったという認識はないが、事実関係がはっきりしないのでコメントできない」と話した。

 被害記者や目撃した新潟日報社記者によると、重川県議は10月9日正午ごろ、県議会庁舎の会議室から出た際、ドアの前で室内の様子に耳をそばだてていた記者を見て、「何をしているんだ」と大声を出しながら首を絞めた。いったん手を離したが、すぐに再び首を絞めた。

 被害記者は当時、重川県議とは別の県議を取材しようと探しており、その県議が会議室内にいるかを確かめようとしていた。

 重川県議は直後の被害記者との話し合いで体に触れたことは認めたが、首を絞めたことは否定した。被害記者はこの日、新潟市内の病院で「頸部(けいぶ)挫傷で約10日間の加療」との診断を受けた。

 新潟日報社は翌10日、被害記者とともに新潟署に相談した。さらに、関係者への聞き取りなど事実関係の調査を慎重に進め、重川県議が暴行したことは間違いないと判断した。

 新潟日報社の大塚清一郎編集局長は「公人が議会庁舎で取材中の記者に対し、暴行を加え、けがを負わせた事案で極めて遺憾だ。憲法で保障された報道の自由を脅かす行為で到底認めることはできない。仮に取材に抗議するにしても、言葉で表すべきで暴力に及ぶのは決して許されない。強く抗議する」と話した。

 重川県議は11月4日の新潟日報社の取材に対し「弁護士に一任している」と答えた。代理人の弁護士は5日、現段階ではコメントできないということを強調した上で「通路を確保するために体に触ったが、首は絞めていない」と話した。

 重川県議は新潟市西蒲区選出で当選3回。非自民の無所属議員でつくる「リベラル新潟」の代表を務めている。 ...