
ドラマや漫画で描かれる厄介な親族間トラブル。それは決して人ごとではなく、身近な問題として社会に存在しています。新潟県内も例外ではありません。ある一例を紹介します。
11月中旬、1人の女性が新潟市内の法律事務所を訪れました。「義兄のことをもう身内とは思いたくありません」。静かな怒りをにじませるのは、中越地方に住む主婦のA子さん(40代)です。義兄を軸としたトラブルの内容は、いわゆる金銭トラブル。それはA子さんにとって衝撃の連続でした。そらいろ法律事務所(新潟市中央区)の協力の下、A子さんの苦悩を伝えます。
<事の始まりは、自宅に届いた謎の書類。A子さんが打ち明けます>
今年1月のことです。知らないクレジットカード会社から夫宛てに1通の封書が郵送されてきました。開けると数枚の書類が入っていて、その中の1枚に「故R様名義カードの件」と書かれていました。「R」とは昨年病死した義父の名前でした。夫は2人兄弟の次男で相続人の1人だったため、書類が送られてきたようです。何のことだろうと思いつつ内容を読んでみると、義父名義のカードを使った借金の記録でした。
義父が亡くなった時の遺産分割の話で、義母からは「うちには貯金はないけれど、借金もない」と伝えられていました。実際、義父が借金を残していたなんて話は誰からも聞いたことがなく、いきなり現れたこの借金に違和感を覚えました。
そして、書類をよく確認してみたらカードを利用した日付は、昨年6月1日と記載されていました。思わず声が出ました。「えっ、お父さんもう亡くなっているよね?」。義父が亡くなったのは昨年5月下旬です。つまり義父が生前につくった借金ではなく、亡くなった数日後に誰かが義父のカードを使ってお金を借りていたのです。
その時の借入額は、...
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