継承が難しくなっている伝統文化を残すための主な方策
 継承が難しくなっている伝統文化を残すための主な方策
 名古屋工業大大学院教授の秀島栄三さん

 とある市が主催した小学生のための能・狂言の鑑賞会に臨席する機会を得た。数十年前に学年全員で能や狂言、ミュージカルを見に行った記憶がよみがえった。

 問題はその後である。また見たいと思っただろうか。演じてみたいと思ったか。稽古に通ってみたいと思ったか。残念ながらそれらはなかったようである。一度の鑑賞ぐらいでは文化が定着することはないということだ。

 小学生ではなかなか興味が持てなくても大人になって理解力が高まると伝統文化の良さが分かる場合もある。個人的には私も大学を出てまもなく発声をよくしたくて「謡」を習いに自発的に通ったことがあった。そういったタイミングで適切にフォローする仕組みはできないものだ...

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