(絵:100%ORANGE)
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 浅草でのひとり暮らしの頃、とある先輩に、日々の食事を日記に書いて、ウェブで公開しないか、と誘われた。2001年の9月12日から、「いしいしんじのごはん日記」がスタートした。

 当初はひどい献立だった。週に4日はコロッケパンとか、昼食は毎日冷やし中華とか。小説への専念とともに収入が激減し、家賃が払えず、三浦半島の三崎へ越してから、毎食自炊するようになった。食卓に彩りがそなわるにつれ、じょじょに読者が増えていった。

 SNS(交流サイト)どころか、ブログもさほど普及していなかった時代。もの書きとして、少しずつ独り立ちしていく様子に加え、カギもこころも開けっぱなしの、三崎のみんなとのコミュニケーション...

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