【2022/06/28】
衆院選挙区画定審議会が「1票の格差」を是正する新たな区割り案を公表した。新潟県は定数が6から5に減り、区割りも大きく変わる見込みだ。与野党の現職らは戦略の変更を余儀なくされる。特に自民党は比例を含む新潟県関係の衆院議員が7人おり、五つの選挙区を巡る調整は難航が予想される。野党は立憲民主党と無所属の計4衆院議員がいるが、一部選挙区では候補者調整に手間取る可能性が指摘されている。新区割り案で示された各選挙区の情勢を探った。(5回連載)
新1区は新潟市中央区と東区、江南区、佐渡市で構成する。昨年の衆院選は、旧新潟市と重なる現1区で立憲民主党現幹事長の西村智奈美氏(新潟1区)が勝利し、自民党の塚田一郎氏が比例で復活当選した。両党とも両氏を軸に候補者調整が進むとみる関係者が多い。

(左から)西村智奈美氏、塚田一郎氏、石崎徹氏
西村氏は新潟日報社の取材に対し「参院選が終わるまでは何もできない」と述べ、今後の態度を明らかにしていない。
新区割り案では西村氏が県議時代を含め地盤としてきた新潟市西区が、出身地の燕市を含む新2区に入る。西村氏を20年以上支援してきた後援会関係者の女性は「長年の支持者と離れることになる。本人が一番つらい」と胸の内を代弁する。
西村氏は衆院選で、県庁所在地である新潟市中央区を含む選挙区で戦い続けてきたため、この関係者は「新1区からの出馬が自然ではないか」と話す。ただ新2区へ移る可能性も否定できず「どちらも一長一短ある」と戸惑いを隠さない。
新2区は立民県連代表の菊田真紀子氏(現衆院4区)の地盤である三条市や地元の加茂市が含まれる。西村氏が新2区を選択するようなら、調整が難航するのは確実だ。
新潟県は2017、21年の衆院選小選挙区で野党系候補が勝ち越した。西村氏は6期、菊田氏は7期を重ね、いずれも立民で要職を務める。党本部は本県の議席を重視しているだけに、党本部関係者は「混乱が生まれないといい」と懸念する。

一方の自民・塚田氏は取材に「まずは参院選を戦い抜く。新区割りへの対応はそれからだ。引き続き古里新潟のために頑張りたい」と、選挙区については白紙状態を強調する。
党1区支部長を務めることから新1区での出馬が「順当」と見る向きがある。ただ、塚田氏は昨年の衆院選で西村氏に約3万票の大差をつけられ、比例で辛くも復活当選。身内である自民県議からも「(塚田氏では)厳しいのではないか」との声が上がる。
そうした見方もあり、現1区の自民県議は「塚田氏は参院選で自民の新人候補に便乗して露出を増やしている。生き残りに必死だ」と話す。
新1区では新潟市江南区全域が入るため、地元の佐藤純県議の擁立を模索する動きも出そうだ。佐藤氏は過去に党1区支部長候補の選考対象となったこともある。自民のあるベテラン県議は新1区の候補者選定の行方について「どうなるか分からない」と含みを持たせた。
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昨年の衆院選で日本維新の会から出馬し落選した石崎徹元衆院議員は、出身地の新潟市東区が入ることなどから「新1区から出馬するのが最も妥当ではないか」と語った。