第9弾 新潟市
<3> おもてなし編
岩室の黒湯でしっとり 寺や洋館、たたずまい重厚
新潟日報 2022/07/08
ドライブ旅で故郷新潟市の魅力を再発見してきた俳優の霧島れいかさん(49)。旅先ではゆっくりと温泉につかりたい。硫黄の香りに誘われ訪ねたのは、西蒲区岩室温泉の旅館「髙島屋」。
江戸時代の庄屋屋敷を生かした建物には、かの良寛も訪れ歌を詠んでいる。明治天皇が北陸巡幸の際に休憩された部屋も当時のままで、国の登録有形文化財に指定されている。
出迎えた女将(おかみ)の髙島基子さん(58)は「岩室のお湯は黒いんです。日本でも珍しくて、お尻が黒くなっちゃうんですよ」とにっこり。「黒!? すごく楽しみ!」と霧島さんはとってもうれしそうだ。
夕食は、6月15日に将棋の棋聖戦第2局が行われ、藤井聡太五冠が勝利した部屋「常磐」で。「将棋好きの父に自慢できる」と喜ぶ霧島さんに運ばれたのは、ノドグロの刺し身や姿焼き、のっぺ、岩室産コシヒカリなど新潟づくしの品々
お楽しみのお酒はたしなむ程度と思いきや、「いいえ、ちゃんとしっかり飲みます。新潟のお酒はおいしいですから」と力強い。
新潟を味わい、旅の疲れを癒やした霧島さん。翌朝、湯加減を聞くと「お湯にちょっととろみがあって、上がった後も肌がしっとり」。女将の言うとおり、「お尻が黒くなったので、せっけんで洗いました」。いい土産話ができたようだ。
髙島屋を出ると、近くの種月寺(西蒲区石瀬)にも足を延ばした。雲洞庵(南魚沼市)などと並ぶ越後曹洞宗四大道場の一つで、江戸時代のかやぶき屋根の本堂は国指定重要文化財だ。
杉の巨木。鳥のさえずり。霧島さんはかやぶき屋根を見上げ「これだけ大きなかやぶき屋根は珍しい。歴史を感じる」とスケールの大きさに圧倒されていた。
おもてなしの心を感じられる名所は新潟市中央区にも。高台に立つ新津記念館(旭町通1)は、石油の精製と販売で富を築いた新津恒吉(1870~1939年)が、商談で来県した外国人をもてなすため1938年に建設した西洋館だ。
母国を思い出してくつろいでもらおうと、内装に各国の様式を取り入れており、1階はイギリスの間、2階はフランスの間と日本間、3階には非公開だがドイツの間がある。
恒吉は賓客をもてなすことなく完成した翌年に死去。敗戦で45年からは10年間、米進駐軍に接収され、屋敷は荒廃したのち返された。恒吉の孫で同館学芸員の新津慶子館長(70)の説明に、霧島さんは「無念だったことでしょうね」と恒吉に思いを寄せた。
フランスの間は、ピンク大理石の暖炉や繊細に輝くシャンデリアで華やかな雰囲気。促されて椅子に座った霧島さんは、豪華な家具にも違和感のないたたずまい。「お金持ちマダムの役が多いからかな」。笑顔でポーズをとった。
霧島れいかさんの旅が動画で見られます。
【動画】霧島れいかさん ドライブ・マイ・ニイガタ
■髙志の宿 髙島屋
住所:新潟市西蒲区岩室温泉678の甲
電話:0256-82-2001
■種月寺
住所:新潟市西蒲区石瀬3356
電話:0256-82-2160
■新津記念館
住所:新潟市中央区旭町通1-754-34
電話:025-228-5050