【2021/07/05】
私はJICA海外協力隊員としてカンボジアのシアヌークビルという街に赴任し、看護師として活動しました。シアヌークビルは首都プノンペンから車で4時間の所にあります。そこで文化の違いを実感したことが二つあります。
一つ目は、一人で寝るという習慣があまりないということです。
現地で友人数人とホテルの同じ部屋に泊まった時のことです。人数分のベッドはありません。ベッドの争奪戦になるかと思いきや、彼女たちはみんな添い寝を希望したのです。
現地の同僚の自宅に泊めさせてもらったときも、その家の子どもたちと川の字で寝かせてもらいました。住んでいた貸家の大家さんは、誰かと一緒に寝られるようにと、キングサイズのベッドを用意してくれました。結局、一人で使いましたが。
なぜ、カンボジア人の多くは一人で寝られないのでしょう。その訳は「夜はお化けが出るから怖いから」。みんなで寄り添って寝れば怖くない。なんてかわいらしい理由なのでしょう。思わず笑ってしまいました。
もう一つは、日本では看護師が行う入院患者の世話を主に家族が担っていることです。
トイレや食事の介助など、家族や友達がそばにいて身の回りの世話をします。遠くにいる親戚が家族とともに数日間病院にとどまることも珍しくありません。

新型コロナウイルスが流行する前のカンボジアの病院の様子。病室に入りきれない患者さんの近くに、家族らが付き添っている
カンボジアは家族や親戚のつながりがとても強いんですね。私が現地で病気になり、プノンペンの病院に入院しなければならなくなった時、親しくしていた現地の同僚がとても心配してくれました。そして、毛布や飲み物など、家族が入院する時に用意してくれる物を私に持たせてくれました。優しさが本当に身にしみました。
新型コロナウイルスの感染拡大で、残念ながら任期満了前に帰国せざるを得ませんでしたが、再び会える日を心待ちにしています。現地の人々の健康と安全を祈りながら。
◎近藤幸恵さん(柏崎市出身)近藤さんは1984年生まれ。柏崎高校を経て、看護師として柏崎市の病院に勤務。18年10月から約1年半、カンボジアに赴任しました。