来季J2に降格するアルビレックス新潟は14日、サポーターと意見交換する「サポーターカンファレンス」を新潟市中央区で開催した。来季の社長を務める野澤洋輔営業本部長は「J2でも守りに入ることなく、強化費の出し惜しみはしない」と、チーム強化への決意を述べた。また、寺川能人強化本部長は新卒選手の獲得について、発表済みのDF松岡敏也(興國高)以外はいないと明らかにした。

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 主な内容は以下の通り(話者は敬称略)。

 2025年シーズンの得点シーンの映像が流れる中、サポーターたちが次々と集まる。前方には中野幸夫社長、次期社長の野澤洋輔営業本部長、寺川能人強化本部長らが並んだ。

中野社長のあいさつ

中野 皆さんこんにちは。寒い中、忙しい中、ご参加いただきまして御礼申し上げます。冒頭ですが、一年のご声援ありがとうございます。その中で今年の成績は期待に応えることが出来ませんでした。来季はJ2ということになりました。社長として申し訳なく思っております。お詫び申し上げます。結果は私の責任だと思います。力不足だったと思います。その中で、来年1月末でこの職を辞させてもらい、新しい体制に移行することになっております。長い間、ありがとうございました。

 個人的には少し取締役に残させていただいて、私の夢ですが、このチームと出合ったのが37歳の時です。今70歳になりました。サポーターとして全試合を追いかけて参りました。もっといいチームになってほしい、応援のしがいのあるチームになってほしいと思い、追いかけました。後援会ができ、会社ができ、応援していただける方が増えていきました。私の夢はサポーターに戻ることです。その夢に近づいているという心境です。私はレプリカユニホームを一着だけ持っております。(ユニホームを着る)2018年にチームがくれたものです。これを着て皆さんと一緒に応援したいと思います。このユニホームを着る日が近づいていると思います。

 申し訳ない思いと、できればまたお力をお借りしてアルビレックスが成長するようお願いしたいと思います。新体制と一緒に強いチームに、応援のしがいのあるチームになるようお願いしたいと思います。今年一年の応援に感謝したいと思います。ありがとうございました。

栗原常務による2025年の経営状況の説明

栗原 中野社長からもありましたけれども、今シーズン皆さまの温かいご支援とご声援を応えることができなかったことはスタッフ一同責任を感じています。社長だけに問題があったとは思っておりませんし、我々も重い責任を持ってクラブが次のシーズンに輝けるように全力を尽くしたいと思います。

 まず入場者数の報告をさせていただきます。J1ホームゲームの合計は約42万9418人。昨年が42万6176人なので、平均入場者数としてはわずかに増となりました。なかなかホームゲームで勝利をお見せすることができなかったが、改めて御礼を申し上げます。最終的な収支については決算は締まっておりません。2024年は前年から総収入として約11%増となりました。それに対して現状では2025年シーズンの収入は、前年の実績から約1・3%増という計画を総収入として立てておりました。これは2024年がルヴァンカップ準優勝の賞金もありました、チケット収入もありましたので、今年はそういった賞金を事前の計画に盛り込んでいませんので、予算から除外をして、各部門で確認をして計画を立てました。それに対して、現状としては、前年2024の実績から総収入としては10数%増の見込みです。グッズの売り上げは前年を下回りましたが、興業の売り上げ、広告の売り上げは計画費を上回る状況、移籍金収入はシーズン中の移籍もあり、大きく上回りました。

 フレックスプライスを導入しまして、ビジターの来場増も収入に寄与しています。コアサポーターの皆さま、8試合以上足を運んでいただいた方はほぼ減少がなかった。一方、ライト層の入場客数は改善の余地があると思います。勝利の喜び、感動は残念ながら少なかった。ここだけに頼らず、いろんな形で試合に来ていただくきっかけ作りに引き続き取り組んで参りたいと思います。

 広告では、オイシックスさまの新規ユニホームパートナー契約もありました。それ以外のパートナー企業、協賛社の皆さまもおり、前年比目標を達成しました。サステナカップではサポーター皆さんの温かいご支援をいただき、1位を取ったということもございました。こうした行動はサステナカップにとどまらず、オイシックスさまやパートナーさまからも高く評価されており、御礼を申し上げます。グッズについては、セールなどもやっておりますけども、商品のバリエーション、適量を投入できていないなど改善の余地があると思っております。

 支出面では、やはり皆さんとしては人件費、運営費にご指摘があろうかと思います。何を持って人件費、運営費とするかは、いろいろな解釈があろうかと思いますが、我々の方で強化部門が持つトップチーム運営費として設定しているのは、2024実績は総支出の中で37・6%という状況でした。2025年予算は40・1%に増やして今シーズンを迎えました。最終的には、シーズン中の補強等もあり、43・7%程度まで増加となる見込みではあります。選手やスタッフに勝った場合のプレミアムとしてボーナスを支給することもございます。これは残念ながら公式戦勝利の勝ちがない中でした。移籍金収入があったんだから支出もというご指摘もあろうかと思いますが、他のクラブへの移籍する場合は移籍金収入は当期の収入になりますが、獲得する場合に発生する移籍金は契約期間に応じた減価償却になりますので、支出は複数期にわたるところでございます。入ったものをそのまま使うものではないというものでございますが、降格という結果を招いたことは、皆さんのご支援応援に応えることができなかった部分は、言い訳を申し上げるつもりはありません。責任を重く受け止めております。

来季のクラブ経営について

野澤 今、栗原の方から説明があった通り、クラブは黒字基調にありますが、安泰ではなく、今後も継続して収益を確保していく必要があります。来シーズンはJ2となり、分配金、来場者数の減少、パートナー企業さまからの減額など、かなりの減収が見込まれます。だからといって守りに入るのではなく、最短でJ1復帰するために、強化費は出し惜しみはしないという判断をしました。もちろん無計画な投資ではなく、経営リスクを判断した上でのクラブの覚悟になります。

 その上で、報道等でご存知かもしれませんが、寺川を強化部長に据えることをご報告します。寺川はクラブの歩み、求められる戦い方を誰よりも理解しております。クラブと現場の両方の理解をし、しっかりとした判断をし、来季も手腕を振るっていただきたいと思います。そして、船越新監督を迎えます。船越さんには、チームと選手の成長、結果への強いこだわりを持ってチームを率いていただこうと思います。チームとしては全面的にバックアップしながら、皆さまから誇りに思ってもらえるクラブになれるよう努力したいと思います。

寺川 皆さんこんにちは。今シーズン結果が出ず、J2降格となってしまいました。現場の責任者として責任を感じています。ただ来季に向けて、クラブとして一緒に歩むと決めさせてもらいました。そこは責任を持って、反省ばかりではなく、前を向いて進めさせていただきます。まず今季の総括として、去年残留争いをした中で危機感を感じました。このスタイルでいいのかという葛藤があり、まずはスタイルを信じることとプラスアルファ、スピードや強度をつけていかないと今季は厳しいと感じました。樹森監督にもプラスアルファを話しました。開幕戦マリノス戦は意図した戦いが表現できました。勝ちは拾えなかったんですけど。そこで、なかなか結果が出ず、選手たちがどうしても疑問に思ったりして、信じれない部分があったりして、もう一度自分たちのスタイルを突き詰め、ハードワークを求めようと入江監督を据えました。しかし、自分たちのミスで空気を悪くしてしまった面もあり、どういう守り、どういう攻めか曖昧で改善することはできませんでした。理想とするサッカーと折り合いをつけられず、最後までいってしまった。振り返ると、徹底することと規律が足りなく、そこが違えば、違う結果になったと思います。

 徹底、規律という部分では来シーズン船越監督を迎え、コミュニケーション能力、引っ張っていく力があります。編成の部分でも船越監督と連係をとりながら、リクエストを聞きながら、今年以上にパワーアップする陣容を築き戦っていきたいと思います。

サポーターとの質疑応答

(野澤さんへ 我々が...

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