地下鉄の駅からあふれんばかりの人が出てきて、超高層ビルに吸い込まれていきます。道路にもたくさんの車やタクシー、バスが走っており、信号が青に変わると一気に流れていきます。
 

 私が住んでいる場所はビジネス街の一角にあります。しかし、そこは私がイメージしていた上海ではありません。人々は整然と歩き、クラクションを鳴らす車はほとんどありません。車は電気自動車が多く、自転車に代わり電動バイクが主流です。朝の通勤ラッシュは驚くほど静かです。

地下鉄2号線東昌路駅付近のビジネス街。多くの人や車でにぎわう

 上海の友人に聞くと、ここ5~6年で街は劇的にマナーがよくなってきているそうです。国を挙げてマナーの向上に努めており、地下鉄に乗っても啓発文が掲示されていたり、車内モニターではアニメで禁止行為が分かりやすく説明されていたりします。

 上海は地方からも多くの人が仕事を求めて移住しています。その中で、代々上海に住んでいる人を「上海人」と呼びます。上海人はとても優しく世話好きです。私たち家族も上海に赴任したてのころ、困っていると何度も見ず知らずの上海人に声を掛けられ、助けてもらいました。

 中国の方は特に子どもとお年寄りを大切にします。例えば地下鉄で席が満席だと「ここに座ってよ」と、身ぶり手ぶりで席を譲る光景を何度も目にしました。

 上海人は日本好きな人が多いです。街にはたくさんの日本食レストランがあります。しかし、東京電力福島第1原発事故の影響で、東北地方や新潟などからの食品の輸入がストップしました。最近、新潟県産米の輸入は解除されましたが、店頭ではあまり見ません。

 今、新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るっています。中国は一時期のひどい状況は脱しましたが、第2波、第3波を警戒して、感染症対策を継続しています。一日も早く感染が収束して、県産米が店頭に並び、新潟の名前がさらに広く知られることを願っています。


松井 明さん(上越市出身)
 (松井さんは1972年生まれ。文部科学省在外教育施設派遣教員として、上海日本人学校浦東校に勤務しています)