水俣病問題の解決支援法案を衆院に提出した立憲民主党=6月18日、国会・衆院事務総長室
水俣病問題の解決支援法案を衆院に提出した立憲民主党=6月18日、国会・衆院事務総長室

 水俣病熊本県水俣市のチッソ水俣工場から不知火海(八代海)に流された排水に、毒性の強いメチル水銀が含まれ、汚染された魚介類を食べた住民らに手足のしびれや感覚障害、視野狭窄(きょうさく)といった症状が相次いだ。1956年に公式に確認され、68年に国が公害と認定した。母親の胎内で影響を受けた胎児性患者もいる。根本的な治療法は見つかっていない。新潟県の阿賀野川流域でも同様の病気が発生。この新潟水俣病のほか、イタイイタイ病、四日市ぜんそくとともに、四大公害病と呼ばれる。被害者団体が伊藤信太郎環境相との懇談中に発言を遮られた問題を受け、立憲民主党は6月18日、水俣病問題の解決に向けた法案を衆院に提出した。水俣病特別措置法2004年の水俣病関西訴訟で最高裁が従来の基準よりも広く被害を認め、各地で提訴が相次いだことを受け、与野党の合意で09年7月に施行。救済対象と判断した被害者に、一時金210万円や医療費を支給するとした。1995年の政治解決に続く、第2の「政治解決」と呼ばれる。しかし、申請の受け付けを2年余りで打ち切ったため、多くの人が救済策から取り残された。に基づく救済策の申請再開や、疫学的な健康調査を実施するとした。

 2009年施行の特措法では被害者に一時金を支給するなどの救済策が取られたが、申請は2012年7月で締め切られた。実施を定めた健康調査も実現していない。

 法案では特措法のスキームに基づき、未申請者を対象に申請を再開する。健康調査はおおむね2年間で実施し、結果を踏まえて被害者救済の基準など特措法の抜本的な見直しを1年以内に行うとした。

 国会会期末は6月23日に迫り、成立の見通し...

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