公害健康被害補償法企業による公害の発生で特定の疾病にかかった住民を一定の要件で救済するための法律。1974年施行。大気汚染による気管支ぜんそくや水質汚濁による水俣病などが対象で、公害病患者に認定されると医療費や補償費が支給される。費用は汚染原因者負担が原則。に基づく水俣病の認定申請を新潟県に棄却され、国の公害健康被害補償不服審査会に処分取り消しを求めた阿賀野市の70代女性に対する口頭審理が12月19日、新潟市中央区で開かれた。県側が「発症するほど阿賀野川の魚を食べたと確認できない」と棄却理由を説明したのに対し、女性側は「日常的に川魚を食べていた」と反論した。

 女性は、10月の不服審査会で審議された男性の姉で、両親や妹が水俣病特別措置法(特措法)2004年の水俣病関西訴訟で最高裁が従来の基準よりも広く被害を認め、各地で提訴が相次いだことを受け、与野党の合意で09年7月に施行。救済対象と判断した被害者に、一時金210万円や医療費を支給するとした。1995年の政治解決に続く、第2の「政治解決」と呼ばれる。しかし、申請の受け付けを2年余りで打ち切ったため、多くの人が救済策から取り残された。などで救済の対象となっている。女性は特措法による救済申請の締め切り後の2014年に認定を申請。手足の感覚障害の症状は認められたものの、17年に棄却された。

 女性の父親は川舟で砂利を採取す...

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