大学生選手らが中学生を指導したスキルアップアカデミー=新潟市北区島見町
大学生選手らが中学生を指導したスキルアップアカデミー=新潟市北区島見町

 中学校の部活動を地域のスポーツ団体に委ねる「地域移行」を見据え、新潟市北区の新潟医療福祉大は、大学の強化指定クラブに所属する学生が中学生らに対して指導する「NUHWアカデミー スキルアップキャンプ」を、陸上競技やサッカーなど6競技で開催した。地域移行に伴う指導者不足も懸念される中、中学校関係者は「学生指導者は魅力的」と歓迎しており、定期的な開催も期待している。

 スキルアップキャンプは、スポーツ庁委託の「感動する大学スポーツ総合支援事業」として実施した。新潟医療福祉大では部活動の地域移行を受けて、学生が地域で指導できる体制をつくりたいと考えていたことから、2024年春の事業募集に応募し、採用された。サッカーとバスケットボール、陸上競技、バレーボール、卓球、ダンスの6種目を、2024年11、12月の日曜に順次、新潟医療福祉大で開催した。

 11月中旬に開かれた陸上競技の教室には、北区内の中学校で陸上部に所属する生徒約40人が参加。大学からは学生5人が先生役を務め、短距離、跳躍、投てきの3種目に分かれて指導した。短距離グループでは、器具を使って加速姿勢を体得する練習もあり、学生が手本を示しながら教えていた。

 短距離に参加した木崎中2年生(14)は「先生の年が近く、接しやすいし分かりやすかった」と話した。跳躍に参加した別の2年生(14)は、普段は独学で練習しているといい、「環境も整っていて、学校ではできないメニューを教えてもらえた」と喜んだ。

 地域移行は2026年度からの本格実施が予定されているが、指導者不足が大きな課題だ。保護者会や地元ボランティアを中心に運営される場合が多く、指導者の負担過重や高齢化も懸念される。その点、毎年新入生が加わる大学では指導者不足の心配はない。

 新潟医福大スポーツ振興室は「教員を目指す学生も多く、育成した人材を地域のために役立てたい」と考えている。今回の事業を通し、26年度に向けた体制を検討するという。

大学生選手らが中学生を指導したスキルアップアカデミー=新潟市北区島見町

 中学校関係者からは「幅広い世代が生徒の活動に関われば地域活性化にもつながる」「定期的に教室を開いてほしい」との声も上がる。南浜中学校の高見潤校長は「部活動の場を地域に展開する中で、専門性が高い学生が輪に加わってくれればありがたい」と期待を語った。

◆「指導者不足と、生徒の交通手段確保が全国的な課題」

 部活動の地域移行や大学生による指導について、新潟県部活動改革検討委員会などで座長を務めた新潟医療福祉大の西原康行副学長に聞いた。

 -地域移行における新潟県の特徴は。...

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