米国野球殿堂は1月21日、今年の殿堂入りメンバーを発表し、米大リーグのマリナーズなどで通算3089安打をマークしたイチローさん(51)=本名鈴木一朗=が見事に選出されました。日米で数々の金字塔を打ち立てたイチローさんですが、プロ入りして初めて1軍で打った本塁打の舞台は、新潟県。長岡市の悠久山球場でした。殿堂入りの記念に、当時の紙面を見てみましょう。
1993年の6月12日の近鉄ーオリックス戦。プロ野球の地元開催となれば新潟県にとって一大事。しかも、この試合の主催は新潟日報社。翌日の朝刊の1面から、その様子を伝えています。

この日の近鉄の先発は、後にメジャーに挑戦する野茂英雄投手。1万2千人の観衆が訪れ、「独特のフォームから繰り出す豪速球で三振を取ると『ウオーッ』と大歓声」と、盛り上がりを伝えています。豪快3アーチと見出しに書いてはありますが、イチロー選手(当時は鈴木一朗)の名前はどこにもありません。
次にスポーツ面を見てみましょう。

「快投野茂 悠久の高笑い」。もちろん悠久山球場とかけた見出しです。野茂選手は八回まで11奪三振の好投。ただ、「八回に制球が甘くなり2本塁打を浴びた」と記事にあります。ですが、名前はありません。【評】の「四回に鈴木の左犠飛で1点」は、近鉄の鈴木貴久選手のことでしょうね。もちろん記事中の鈴木監督は近鉄の鈴木啓示監督のことです。
結論から言えば、記事の中には全くイチロー選手の名前はありませんでした。ただ、記録の中にはちゃんとあります。

本塁打の欄に...
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