
新潟県上越市三和区で2月11日から12日にかけてイノシシが出没し3人が負傷した。専門家によると、今冬のように一度に大量の雪が降ると雪壁ができてイノシシは山へ帰れずパニック状態に陥り、人に遭遇すると襲う事例が増えるという。イノシシは足が短く高い所へ登るのが苦手なため専門家は「見かけたら高い場所へ逃れるか物陰に隠れて」と注意を呼びかけている。
三和区では11、12の両日、隣接する岡田、大(おお)、水吉の3集落で体長約1メートルのイノシシが出没した=地図参照=。手や足をかまれたり、後ろから突進され、転んで頭などを打ったりして60〜80代の男女3人が負傷。12日夕、体長約1メートルのイノシシが駆除された。
3集落とも山に接した場所にある。野生動物の生態に詳しい長岡技術科学大の山本麻希准教授によると、大雪が降ると道路除雪などにより各所で雪壁ができるため、足の短いイノシシは雪壁を登れず、山に帰るためのルートを見失う。パニック状態で集落をうろつくため、人や車と遭遇すると突っ込んでいくという。

12日に襲われた男性(81)は自宅の玄関先に出たところでイノシシに遭遇。いきなり突進され、右の太ももをかまれた。イノシシはその後も集落内をさまよい、車に体当たりした。当時、軽トラックを車庫入れしていた水吉の男性(83)は「車に向かって走ってきた」と興奮気味に振り返った。
大雪で山へ戻れなくなったイノシシが人を襲うケースは今後も起こる可能性がある。山本准教授は「イノシシは高い所へ上るのが苦手で足が潜りやすい雪の上を歩くのを嫌う。前方に遮る物があると突進しない性質もある」と説明。イノシシに遭遇した場合は「1メートル以上高い場所に上るか、塀や戸などの物陰に隠れてほしい」とアドバイスする。
とっさの避難が難しい場合はしゃがんだり、足を閉じて体を丸めたりして防御することを勧める。「太い血管が...