控訴審の第3回口頭弁論に先立ち、環境省前で早期救済を訴える新潟水俣病第5次訴訟原告団の皆川栄一団長(左)=5月、都内
控訴審の第3回口頭弁論に先立ち、環境省前で早期救済を訴える新潟水俣病第5次訴訟原告団の皆川栄一団長(左)=5月、都内

 水俣病被害を訴える新潟市の男女らが国と原因企業の昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に損害賠償などを求めた新潟水俣病第5次訴訟2013年12月に新潟地裁に提訴。24年4月に原告団149人のうち先行して審理が終わった47人が受けた判決は、判決前に公害健康被害補償法(公健法)で患者と認められた2人を除く26人を水俣病と認めてレゾナックに賠償を命じた一方、19人は退けた。(※ページ下部に詳細)の控訴審が進んでいる。原告側弁護団は、来秋までに原告45人全員が水俣病であることや国の責任を追及する主張の立証に区切りがつくと見通しており、その頃の結審が視界に入ってきた。一方、立憲民主党などの野党が国会提出した新たな救済法案も注視。7月の参院選で野党勢力が伸長した状況を踏まえ、新法が早期成立した場合の和解による解決もにらむ。(報道部・山田功)

 昨年12月に東京高裁で始まった控訴審は、これまでに3回の口頭弁論を行った。原告側は、19人を水俣病と認めなかった一審新潟地裁判決を「誤りだ」と批判。複数の原告が自身の症状について意見陳述したほか、国の責任について、原因となった昭和電工鹿瀬工場を「排水規制すべきだった」などと改めて主張した。

 これに対し、被告側は一審判決が一部原告を水俣病と認めたことに反論。原告の症状が水俣病でない可能性を「慎重に検討していない」と疑義を呈し、全面的に争う構えだ。

 7月末には...

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