北原白秋の故郷、福岡県柳川市に行ってきました。

 柳川の街中には掘割が張り巡らされていて、船頭さんが竹竿1本で操るどんこ舟で川下りを楽しむことができます。

 毎年、11月2日の白秋の命日に合わせて、1、2、3日と「白秋祭水上パレード」が行われるのですが、昨年に続き、今年も参加してきたのです。

 舟は16人乗りで、今年は122隻。おのおの、お弁当やビールを持ち込んで約4キロを2時間半かけて下ります。橋をくぐる時にはみんなで頭を下げて、柳の葉にも手が届きそう。

 コース沿いでは、地元の人たちが、コーラスや太鼓、郷土芸能を披露してもてなしてくれます。川沿いに立つ家では、それぞれ宴会が行われていて、家から出て手を振ってくれたり。

 一番元気なのは子供たちで、舟に向かって「こんばんはー!」「行ってらっしゃーい!」「ようこそ柳川へー!」と大きな声であいさつしてくれます。終点では花火が打ち上がってみんなで眺めてフィナーレ。こんな祭り、最高。

 これができるのも堀が残っているからで、というのも、1977年に、20億円に上る予算を計上して堀を埋め立てることに、いったん決定していました。

 そこに待ったをかけたのが、当時、都市下水路係長だった広松伝(ひろまつつたえ)さん。市長に直談判し、住民一人一人を説得して回り、堀の清掃から始め、決定をひっくり返した豪傑です。「でんさん」と呼ばれ、街の人たちから親しまれたという広松さんのお話も、今回ゆっくり聞けて、ますます柳川が身近になりました。

 今回は48歳と46歳の男性スタッフ、そして私の、まあまあの年齢の3人で行ったのですが、寄る年波には勝てないということを実感しました。

 まずトイレ問題です。以前は、バスツアーなどに参加すると、休憩の度にお手洗いに行く方たちを「そんなに出るものかな」と眺めていましたが、出ますよね。出る出る。

 スタッフは、川下り中に限界に達し、「ガンバレ!僕の膀胱」と悶えていました。

 もう1人のスタッフはおなかをこわし、川下りならぬ腹下り。

 私は脚にきました。舟から下りる時、よろめいてスタッフのコートの袖をつかみ、ボタンを引きちぎりました。スタッフには申し訳なかったけれど、川に落ちなかっただけ良かったです。

 珍道中の柳川旅行でしたが、その模様を、今月、毎週月曜日にBSNラジオ「四畳半スタジオ」で放送しています。お土産もたんまり買ってきましたので、ぜひご応募いただき、柳川の風を感じてください。

 新潟日報朝刊で好評連載中の遠藤麻理さんのコラム「なんとかなる」が、デジタルでもご覧いただけるようになりました。デジタル限定で過去のバックナンバーも順次再掲していきます。

◆第1回「人生はやめられません」2019年4月12日掲載

 初めましての方も、そうでない方も、こんなところでこんにちは。遠藤麻理です。

 新年度からこちらの生活面で、何の役にも立たないエッセーを書かせていただくことになりました。

 今、この原稿を日帰り温泉施設の畳敷きの大広間で書いているのですが、近くでおしゃべりしているおばあちゃんが...

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