
街角にそっとたたずむ、心に残る造形を集めた展覧会「路傍小芸術」が3月22日まで、新潟市中央区西大畑町の新潟市美術館で開かれている。長岡市のペットショップ「松田ペット」の手描き看板や、関越道越後川口サービスエリア(SA)にある超絶技巧のポスターなど、唯一無二の数百点を展示している。
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開館40周年を記念したこの展覧会では、名画や巨匠の作品でなく、無名の人々によって生み出され、多くの人々が見つめてきた品を集めた。美術館の外にある看板も、キャプションも手書き。「真心を込めて試みる展覧会」というコンセプトを体現している。
学芸員の藤井素彦さんは「美術史に照らせば、収まる引き出しが分かる作品を美術館は扱っている。そういうものとは違い、『路傍小芸術』では主に県内のあちこちで出合い、心を震わせたものたちを集めた」と説明。「作り手の熱意や真面目さ、深い真心を感じる一つ一つの造形に、正直に向き合った」と語る。
目玉の一つは、公立美術館では初となる松田ペットの展示だ。順路の最後、一番大きな空間に、看板群が立ち現れる。
長岡市民にはおなじみのビーグル、チワワ、ヨークシャーテリアを配した看板のほか、前身の「松田商展」時代の鳥と金魚を配した看板など、圧倒的な枚数の現物が展示され、デザインの変遷を一覧することができる。
看板のほか、長岡市三島地域にある松田保夫社長の「秘密基地」兼、絵師のアトリエを再現したコーナーや、松田社長が「心が動いた瞬間」を歴代の看板絵師に描いてもらった絵画など、普段は見ることができない“お宝”が並ぶ。
ゲストキュレーターの新稲ずなさん(38)=長岡市=は「多くの看板を一カ所で見られる貴重な機会。看板の歴史や絵師の人となりが分かる内容になっている。長岡にもぜひ足を運び、街の中にある看板も見てほしい」と力を込める。
展覧会では、絵が趣味という新潟市西区の高橋一平さん(73)の絵画も展示されている。高橋さんは「小さい頃に過ごした十日町市松之山地域の祖父母の家を描きたい」という一心で、50歳ごろから絵を始めた。在りし日の家を描いた水彩など6点を展示する。
高橋さんは「展示は光栄だけど、なぜ私が選ばれたのか理解できない」と謙遜する。藤井さんは「今回の展覧会のテーマでもある『切実な動機、目的』が作品を強いものにしている。描こうと思って描けるものではない」と太鼓判を押す。
このほか、越後川口SAに勤務する女性が30年以上にわたり手書きで制作してきた、独自の緻密なイベント告知ポスターや、新潟市立南万代小6年生が新潟地震について表現した版画全46点、新潟県民会館の前に鎮座する「みちびきの像」をはじめとするセメント彫刻の写真など、ユニークな品々が並ぶ。
藤井さんは「いつも展覧会という形で皆さんに楽しんでもらいたいと考えている。一期一会の芸術をご覧いただきたい」と話している。
大人800円、高校・大学生600円、中学生以下無料。月曜休館。問い合わせは市美術館、025(223)1622。...











