第9弾 新潟市

<2> 花火
休業経て制作「楽しい」 打ち上げ延期に心境複雑
新潟日報 2022/08/03
6畳ほどの作業部屋で、花火師6人が黙々と和紙を貼り合わせる。新潟煙火工業(新潟市中央区)が西蒲区に構える工場。7月下旬は県内各地のお祭りに向けた花火作りに追われていた。
もちろん、8月7日に予定されていた新潟まつりの花火も含まれていた。だが、9月半ば以降への延期が決定。当面は倉庫で保管され、打ち上げられる日を待つ。

品質には問題ないというが、小泉欽一社長は「延期になっても日程が決まらなければ、正直、まだ先が見えない」と淡々と話した。打ち上げたい気持ちはあるが、現段階では見通しが立たないため、複雑な心境だという。
例年と異なる準備を求められていた。新潟まつりの花火打ち上げ場所が、感染対策で人を分散させるため3カ所となったのだ。それに伴い、観客と打ち上げ場所の距離が近くなる場所もあり、打ち上げる玉の大きさを例年の最大4号玉から2.5号玉に縮小せざるを得なくなった。
玉が小さくなると、できる細工にも限りがある。小泉社長は「規模や時間は縮小するが、人員や手間は増える」と頭を悩ませつつ、見ている人に楽しんでもらいたいと社員一丸で構成などの工夫を重ねていた。
9月半ば以降に延期された花火は、これまでの準備が生かせるのか、打ち上げ場所の変更があるのかなど詳細はまだ分からない。
小泉社長は「延期になってもやれることは精いっぱいやる。その姿勢は変わらない」ときっぱり語った。
同社では新型コロナウイルス感染拡大の影響で約2年間の休業を経験した。今年は新潟まつり以外にも長岡花火や、阿賀野川ござれや花火(東・北区)など複数の花火大会で打ち上げに従事する。花火師の五十嵐