第9弾 新潟市

揺れる夏 2022新潟まつり

<3> 市民参画プロジェクト
信濃川を活用 機運高め 「地元に愛着」思い出刻む

新潟日報 2022/08/04

 3年ぶりの開催となる新潟まつりでは、本番までの機運を盛り上げようと市民が主体となった関連イベントが初めて催されている。「市民参画プロジェクト」と銘打った企画には45団体が参加。7月初めから市内各地で、まつりの歴史に関するパネル展示やパンフレット作成といったそれぞれの事業を展開してきた。

 その一つ、「信濃川灯籠流し」が7月30日、中央区の八千代橋近くのやすらぎ堤で行われた。「家族が健康でいられますように」「平和な世界へ」といった願いが書かれ、温かな光を放つ灯籠が信濃川をゆっくりと流れた。参加者は暗い水面を漂う灯籠を「きれいだね」と言いながら写真に収めていた。

信濃川へ願いを流す灯籠流しの参加者ら=7月30日、新潟市中央区
信濃川へ願いを流す灯籠流しの参加者ら=7月30日、新潟市中央区

 企画したのは市民グループ「新潟の宝実行委員会」。代表の栗山靖子さん(67)=中央区=の仕事仲間が集まった。新潟まつりを誰でも気軽に参加できる催しにしたいとの思いと、新潟の誇りである雄大な信濃川の活用を目指した取り組みだ。

 約1000個の灯籠を用意し、市外出身者も多い大学などに出向き、新潟まつりの歴史についての講演や灯籠作りへの参加を呼びかけてきた。

 7月上旬には、新潟柳都中(中央区)を訪問した。地元の祭りに愛着をもってもらおうと「新潟まつりの未来は皆さんによってつくられる」などと呼びかけた。3年の女子中学生(14)は「お祭りに参加することで地域に貢献したい」と力を込めた。

 灯籠流し当日、川岸に立った3年の男子中学生(14)は「みんなの思いが流れていてきれいだった。全部の願いがかなえばいい」と笑顔を見せた。

 栗山さんは、近年の新潟まつりを誰かがやっていると人ごとのように感じていたと明かす。催しを終え、「子どもたちにとって祭りに参加したという良い思い出になればうれしい。来年以降も継続したい」と思いを込めた。