「乾かぬグラス」には、多くの反響が寄せられた
「乾かぬグラス」には、多くの反響が寄せられた

【2021/01/27】

 生活面重点企画「依存症を考える」の第1部「乾かぬグラス」では、生活に身近なアルコールについて、依存症経験者らの思いを伝えた。連載後、アルコールに悩む人やその家族から、多くの手紙やメールが寄せられた。記事で触れられなかった事前アンケートの一部と共に紹介する。

 「傷ついた家族がいることを知ってほしい」。長岡市の40代女性は、アルコール依存症だった母が原因で、幼少時にトラウマ(心的外傷)になったつらい記憶を手紙につづった。

 母に命令され、近くの酒屋に酒を買いに行かされたこと。気付いた父が店に行き、売らないようにお願いしたこと…。「父と一緒に行った私もみじめだった」と振り返る。台所の流しはウイスキーのにおいがし、機嫌の悪い母から、ほうきの柄でたたかれたこともある。「母はただただ怖い存在だった」

 社会人になって実家を離れたが母の飲酒は止まらず、心配で週末に片道1時間かけて通う日々が続いた。現在、母の飲酒は減ったという。女性は「早い段階でなぜやめることができなかったのか」と複雑な心境を吐露した。

 アルコール依存に苦しんでいた別の女性は、手紙で「連載の登場人物はかつての自分のようだった」と振り返った。

 病院へ行こうか迷っていたところ、母が背中をさすり「大丈夫、大丈夫」と何度も言ってくれたという。母のために禁酒を誓い、それ以来、ほとんどお酒を口にしていない。「不思議と飲みたいと強く思わなくなった。優しい母の老後を世話したいから」とした。

 周囲の支えが必要だというメールもあった。依存症の診断を受けて通院中の新潟市の60代男性は「依存症は1人では治らない」と強調。同じ状況の人と話し合うことが必要だとし、「予備軍の人はたくさんいる。おかしいと思う人は専門病院に行ってみて」と呼び掛けた。

 福祉関係に携わる長岡市の50代男性は生活困窮や健康障害、家庭崩壊などの背景にアルコール問題があるケースが多いとし、「酒のマイナス面をもっと伝えるべきだ」と指摘した。

 新潟日報社のメールマガジン登録者らに行った事前アンケートでは、アルコール依存症への理解不足に悩む声が上がった。

 夫が依存症と診断された三条市の女性は「依存症は病気」とし、家族が協力して生活するのは糖尿病やがんと同じだとした。一方で「かかった人が悪いわけじゃないのに、病気になった人が責められる」と周囲の無理解を訴えた。

 村上市の女性も亡き父が依存症だった経験から、「アルコール依存に陥れば、周りが思うほど簡単にはやめられない」と説明。「人間関係や人生を壊すのがアルコールの怖さ」とした。