日本勢の活躍に沸いた北京冬季五輪が閉幕しました。新潟県勢は11人が出場。中でもスノーボード男子ハーフパイプ・平野歩夢選手(TOKIOインカラミ・新潟県村上市出身)の金メダル獲得が強く印象に残っている人は多いと思います。

 勝負の決め手は最高難度のトリック(技)とされる「トリプルコーク1440(フォーティーン・フォーティ)」です。平野歩夢選手はこれを成功させ、逆転で優勝しました。一度は声に出してみたくなる(?)大技「トリプルコーク・フォーティーン・フォーティ」とは、一体どんな技なのか、できるだけ分かりやすく説明してみます。

平野歩夢選手が決めた「トリプルコーク1440」連続合成写真 

トリプルコーク1440とは

 トリプルコーク1440は「斜め軸の縦3回転、横4回転」などと表現されます。縦3回転とは別に横にも4回転する、つまり7回転しているの?と思った人もいるかもしれません。実際はどうなのでしょうか。

 それぞれの用語を分解してみます。

トリプル

 トリプルは3回転を意味します。ちなみに「ダブル」は2回転です。この表現はフィギュアスケートなどでも用いられているので、なじみがあるのではないでしょうか。

コーク

 コークは「コークスクリュー」の略称です。コークスクリューとは「栓抜き」のことで、らせん状の動きを表しています。純粋な縦軸の回転や横軸の回転ではなく、縦回転と横回転をミックスしたイメージの「コーク軸」という斜めの軸で回る技術です。

1440

 スノーボードで技の最後につく数字は合計回転数を表しています。1回転は360度なので、1440の回転数は「1440÷360=4」で4回ということになります。そうです。トリプルコーク1440は4回転の技だということです。フォーティーン・フォーティなどの読み方は英語の読み方です。

内訳は縦3回転、横1回転

 整理します。北京五輪スノーボード女子ハーフパイプで銅メダルに輝いた冨田せな選手、同種目で5位入賞を果たした冨田るき選手の姉妹(ともに新潟県妙高市出身)を輩出した全日本ウィンタースポーツ専門学校(JWSC・新潟県妙高市)によると、トリプルコーク1440の内訳は「斜め軸の縦向き3回転と横1回転」とのことでした。

 3回転する斜め軸の回転は「主成分」が縦の回転で、横の回転も加わっているものの、完全な横軸の回転は、全体で1回転ということになります。

 一連の動きを細かく見てみると、まずハーフパイプの壁から抜け出すときに、横軸で半回転し、そこから斜め軸で縦向きに3回転、さらに半回転して着地に合わせます。縦を中心とする3回転に横1回転を合わせた計4回転の技で、7回転するわけではないようです。

 少しややこしいですが、平野歩夢選手はこんな「??」な大技を五輪という4年に一度の大舞台で完璧に決めました。

 最後に。コーク軸の回転や考え方、数え方などは種目や競技、人によって異なっているようです。