北陸新幹線で他県の主要駅とつながる上越妙高駅

 新潟市と上越地域のアクセス改善に向け、新潟県が鉄道高速化の構想を進めている。上越新幹線と北陸新幹線のはざまとなり、上越地域の住民にとって新潟市への移動の不便さは長年の課題だ。「上越からは、新潟市より長野市や富山市の方が感覚的に近い。北陸新幹線の延伸で福井市も近くなった」なんて声も聞こえる。実際に新潟市から上越地域と、上越から他県の県庁所在地へ鉄路で移動し、近さと遠さを体感した。

(報道部・清水祐子)

富山駅は40分、福井駅は1時間40分…では新潟方面は?

JR上越妙高駅を起点に…鉄道での移動時間を比較

 5月中旬、鉄路で147キロ先の新潟県上越市のJR上越妙高駅に向かうため、新潟市中央区の新潟駅から特急しらゆきに乗り込んだ。普段の移動は車が多く、在来線に乗るのは久しぶりだ。

 朝7時半過ぎに出発。4両編成の列車の埋まりは2割程度だ。指定席の1号車は人がいない。長岡駅で乗客が乗り込んだが、道中の乗車率はほとんど変わらなかった。

 最高時速120キロの車窓からは海の青や山の緑が美しく、小旅行気分を味わえた。北陸新幹線が停車する上越妙高駅に着いたのは出発から約2時間後。新潟駅から新幹線に乗れば、同じような時間で東京まで行ける。

 北陸新幹線に乗り換え、富山駅に向かった。最高速度時速260キロ、特急しらゆきの倍以上の速さで車窓の景色が流れる。110キロの距離を40分であっという間に到着。確かにこれは「近い」。

富山駅には上越妙高駅から北陸新幹線で40分で到着する

 これだけすぐ着くなら、新潟県内に訪れる人も多いのではないか。路面電車が行き交う富山駅前の大通りにある老舗マスずし店で聞いてみた。「新幹線が通ってからむしろ行かなくなったかな」。店頭に立つ女性(54)からは意外な言葉が返ってきた。

 開通前は上越新幹線を利用していたが、北陸新幹線1本で東京に行けるようになり、新潟県内は通過するだけになったという。バスケットボールファンで、同じBリーグで地元富山のチームとの対戦があった時は、観戦のため新潟県を訪れることもあったが、リーグが変わり対戦機会がなくなった。新潟市方面は鉄道の使い勝手が悪く、今は新潟県内に立ち寄ることはほとんどないという。

路面電車が行き交う富山駅

 富山駅からさらに西へ、北陸新幹線延伸で沸く福井駅にも向かった。...

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