オウム真理教施設から、山梨県中央児童相談所に一時保護される信者の子ども=1995年4月、甲府市

 オウム真理教による地下鉄サリン事件は3月20日で発生から30年。発生約1カ月後の1995年4月14日、山梨県・旧上九一色村(現富士河口湖町、甲府市)の教団施設「サティアン」から、住民票のある新潟県など19都道府県の53人の子どもが救出され、甲府市の山梨県中央児童相談所に一時保護された。約3カ月間、共に過ごした元児相職員の保坂三雄さん(78)が、当時を振り返った。

オウム真理教施設から保護した子どもたちと共に過ごした元児相職員の保坂三雄さん

 私は当時、指導方針を決める判定課長という役職だった。4月14日午後2時過ぎ、53人のバスが到着し、警察官が子どもたちを抱えて降りてきた。子どもたちの顔色は透き通るように真っ白で無表情。頭にヘッドギアを着けた子もいた。男子27人、女子26人で、4〜14歳。立つこともできず、横たわって「ここは現世?」と尋ねた子もいた。8人が即入院した。

 子どもたちはとにかく臭かった。...

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