2025年、新潟県では記録的なペースで熊の出没が続きました。特筆すべきは山間部だけではなく、これまで出没が少なかった平野部でも出没件数が増えている点です。市域の大半が平野部の新潟市でも、25年度は11月末時点で28件と過去最多を記録しています。しかし、県の「クマ出没マップ」を見ると、ある奇妙な点に気づきます。県内の山という山が目撃を示す熊のマークで埋め尽くされる中、ぽっかりと空白地帯があるのです。
なぜ地続きにもかかわらず、これらの地域では熊が目撃されなかったのでしょうか。これまでの熊の出没傾向を振り返りながら、新潟県内の「熊空白地帯」の謎について迫りました。
◆2025年、熊はこんなにも出没していた
イノシシとは異なる生息域の拡大パターン
そもそも、25年はどれほど熊の出没が多かったのでしょうか。県鳥獣被害対策支援センターなどのデータを基に、まずは近年の熊の目撃・痕跡報告件数と人身被害件数の推移を見ていきましょう。
上のグラフで青い線が示す目撃・痕跡報告件数は、増減を繰り返しながらも全体としては増加傾向にあります。25年度の目撃・痕跡報告件数は26年1月4日時点で3457件に達し、これまでで最も多かった20年度の約1・7倍にも上っています。人身被害は16件17人で、人の生活圏に出没した熊に対し、市町村の判断で発砲が可能となる「緊急銃猟」は12件となっています。
続いて、ここ数年における県内の熊の出没地域の推移を見てみましょう。(詳細は新潟県鳥獣被害対策プラットフォームのページから確認できます)
17年から25年の出没地点を比較すると、熊の出没を示す青い点が、内陸の山間部の裾野から平野部へと徐々に広がっていることが分かります。上越地域東部から魚沼地域などで特に拡大しているのが見て取れます。
その一方で、...
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