越後の誇る名将、上杉謙信と景勝のゆかりの地をたどるシリーズ「義を結ぶ」。今回は、謙信の父である長尾為景(ためかげ)を取り上げる。守護の補佐役に当たる守護代から、数々の戦いを経て戦国の雄に上り詰め、謙信らに続く一族の隆盛の礎を築いた。越後における下克上を象徴する存在とも言える、為景の足跡を追った。(上越支社・小林純、魚沼総局長・高橋淳)

上杉顕定の管領塚を前に長森原の戦いについて語る今井脩さん=南魚沼市下原新田の管領塚史跡公園(長岡支社・金子悟撮影)

 霊峰八海山(1778メートル)の麓に広がる南魚沼市の長森原(ながもりがはら)古戦場。この地に500年以上前、越後国の歴史を塗り替える合戦があった。越後守護の補佐役に過ぎない守護代の長尾為景(ためかげ)が、東国を統括する関東管領の上杉顕定(あきさだ)を討ち、越後における長尾氏の権力が確立した「長森原の戦い」だ。

 六日町駅から車で国道291号を走り、約10分。長森原は、...

残り2321文字(全文:2675文字)