越後の誇る名将、上杉謙信と景勝のゆかりの地をたどるシリーズ「義を結ぶ」。今回は、謙信の父である長尾為景(ためかげ)を取り上げる。守護の補佐役に当たる守護代から、数々の戦いを経て戦国の雄に上り詰め、謙信らに続く一族の隆盛の礎を築いた。越後における下克上を象徴する存在とも言える、為景の足跡を追った。(上越支社・小林純、魚沼総局長・高橋淳)

長尾為景が深く崇拝した府中八幡宮を紹介する石井春男さん=上越市西本町(上越支社・大渕一洋撮影)

 室町時代後期、幕府の権勢の衰えによる戦乱は越後にも広がっていた。その中で、国内平定に向け精力的な動きを見せたのが守護代を務めていた長尾為景。上杉謙信の父に当たる武将である。

 為景が勢力を広げていく上で、主に対峙(たいじ)したのは主君に当たる上杉家だった。為景は...

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