
新潟日報のインタビューに答える仲代達矢さん=2018年10月、東京都世田谷区の無名塾(写真映像部・永井隆司撮影)
映画「人間の条件」や黒沢明監督の「影武者」などに主演し、主宰する「無名塾」で後進を育てた俳優で文化勲章受章者の仲代達矢さんが死去したことが11日、分かった。92歳。東京都出身。
仲代達矢さんは、心をわしづかみにするような人だった。主宰する無名塾(東京)で話を伺ったのは2018年。師匠の師匠である歌人で書家の会津八一に対し敬慕の念を口にするとともに、痛烈な戦争批判を語り、社会派の一面をのぞかせた。
18年10月、本紙「おとなプラス」の2周年特集の取材でお目にかかった。特集では東洋美術史学者でもある八一、その八一に師事し大学で東洋美術を専攻した映画監督の小林正樹、その小林に抜てきされ俳優としての地歩を築いた仲代さんの、3人の系譜を書いた。
旧満州が舞台の戦争映画の大作「人間の條件(じょうけん)」で小林監督に起用された仲代さんは、この作品で名前が知られることになり「一番の恩師は小林監督」と強調。その小林監督から「俺が生きていられるのは会津八一先生のおかげ」とよく聞かされていたという。だから仲代さんは「会津八一の孫弟子」を自任していた。
八一は、弟子と認めた者に4カ条からなる「学規(がっき)」を書いて渡した。学問、芸術への向き合い方が記してあり、授けられた小林監督は生涯の指針とした。仲代さんも小林監督から八一の書の複製をもらったと振り返り「誇りに思っている」と語った。
旺盛なサービス精神を披露してくれたのは取材の途中。...
残り763文字(全文:1379文字)










