
猟友会の会員が仕掛けた「クマ用ドラム式捕獲器」。中にはクマが好む餌を置いていた=湯沢町土樽
クマによる被害が多発している。湯沢町や南魚沼市では、クマのものとみられるふんや足跡を多く見かける。地元猟友会とわなの設置や捕獲現場に同行し、かかったクマを駆除する現場に立ち会った。住民の命を守ろうと危険な業務に立ち向かう猟友会の取り組みや、年々会員数が減っている現状を取材した。(2回続きの1、魚沼総局・小林史佳)
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体が震えた。「パン」。鼓膜が破れそうな爆音が響いた。わなにかかったクマの駆除が終わったのだと悟った。
体長約0・5メートルの子グマだった。動かなくなった姿を見て、「かわいそう」という気持ちも芽生えた。しかし、人の命が危険にさらされている待ったなしの状況にあることを、思い返した。
わなが仕掛けられた現場に向かったのは、10月31日の午前7時前だった。「キャー、キャー」と甲高い鳴き声が聞こえた。初めて聞くクマの鳴き声は想像していた低く、うなる声とは全く違っていた。遠くからは、人間の声に似ているようにも感じた。
「危ないから下がって」。わなから約20メートル。猟友会員がシャッターの前に立った。そして、散弾銃を構えた。...
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