電通グループ(ブランド:「dentsu」、本社:株式会社電通グループ、拠点:東京都港区、代表者:代表執行役 社長 グローバルCEO 五十嵐 博、以下、dentsu )は、日本を含む世界の主要14市場※における企業のCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)などマーケティングに関する上級責任者1,950名を調査対象とした「CMO調査レポート2025(日本語版)」を発表しました。
「再変革の推進者たち(AGENTS OF REINVENTION)~AIと人間の創造力の交差点にあるマーケティング」と題した今年で6回目となる本年次調査は、アルゴリズムと自律エージェント型AI(エージェンティックAI)が席巻する時代において、これまで以上に高まる人間性の価値と AIの融合 を目指すCMOの姿が浮き彫りになっています。また、CMOの回答を分析したうえで2025年以降のマーケティングにおける10の主要テーマを定義し、ブランド(企業)とビジネスの持続的成長のための提言を示しています。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202512261780-O2-7z63F04I】
■本調査の詳細レポート(日本語版)は以下のURLよりダウンロード可能です。
URL:https://www.group.dentsu.com/jp/news/pdf/dentsu-creative-cmo-survey-2025-jp.pdf (3.5MB)
当調査の公開にあたり、電通グループ グローバル・チーフ・クリエイティブ・オフィサー 佐々木康晴は、次のように述べています。
「今回のレポートで明らかになったのは、広告主のみなさまがAIを急速に導入しつつも、人間の力によるクラフトとクリエイティビティをこれまで以上に重視するようになっている、という点です。AIをマーケティングの広範囲に採用するほど、独創性や革新性をあわせ持たなければ、ブランドは埋もれてしまう。AIは短期的な成果の予測に優れていますが、クリエイティビティの本質的な価値は「予測不能性」にあるのです。
最も刺激的なのは、AIの能力と人間のクリエイティビティが融合することで、これまでにない可能性が開かれ、新たな未来が形づくられていくことです。だからこそ、多くの広告主のみなさまが2026年以降も、これまで以上にイノベーションへの投資を強化する姿勢を示しているのだと思います。」
また、本調査をリードしたDentsu Creative グローバル・チーフ・ストラテジー・オフィサー パトリシア・マクドナルドは、次のように述べています。
「現代のマーケターは数多くの逆説や矛盾に直面しています。時代についていくためにはオートメーションが不可欠ですが、その中で際立つためには人間らしさが欠かせません。アルゴリズムを制しないと存在感は失われますが、最適化しすぎると個性が消えてしまいます。どのブランドも同じツールで同じシグナルを追いかければ、私たちは同じ場所に留まりながら、必死に走っているにすぎません。つまり、AIを積極的に取り入れれば取り入れるほど、私たちはより人間らしくなる必要があります。カルチャーに根ざした、深く、パーソナルな真実を掘り起こすことが共感を呼び、差別化をもたらし、スケール化に繋がるのです。」
本調査が示す2025年以降の10の主要テーマは下記のとおりです。
① アルゴリズムを先読みする
アルゴリズムで成功することは、トレンドに追随するのではなく先導することを意味します。最新のミームや流行を追いかけるだけでは効果は次第に減少し、コストは上昇し、認知度も低下してしまいます。71%のCMOが「アルゴリズムで勝てなければ存在感を失う」と考えている一方で、79%が「アルゴリズムの最適化を優先しすぎると、似たようなコンテンツばかりになってしまう」とも感じています。
② 共感へ投資する
一見、逆説的ですが、アルゴリズムで成果を上げる鍵となるのは人間らしさです。人と人との間でしか生まれないインサイトが共感を生み、常識にとらわれない発想がイノベーションを生み出すことで、重要な差別化が実現します。86%のCMOが「AI主導の世界では、実際の顧客の声に耳を傾けることがこれまで以上に重要である」と回答しており、さらに87%が「現代の戦略には、より高い創造性、共感力、そして人間性が求められる」と考えています。
③ アイデアでつなげる
今日、ブランドは共創によって成り立つべきであると考えるCMOが圧倒的多数です。91%が「今後のブランド構築はブランド、クリエイター、プラットフォームによるパートナーシップによって行われる」(前年比+14ポイント)と回答しており、87%が「コミュニティとのエンゲージメントは、ブランドインパクトを拡大させる強力な手段である」と考えています。一方で、82%がコントロールを手放すことを懸念しており、この割合は前年から22ポイント増加しています。
④ インフルエンサー投資が結果を分ける
共創の重要性を踏まえると、CMOがインフルエンサーへの投資を大幅に増やす計画を立て、インフルエンサーコンテンツが可視性やコンバージョンを高める上で果たす役割を戦略的に捉えているのは当然と言えます。90%のCMOが「ソーシャルメディアとインフルエンサーコンテンツは従来型広告よりも高いエンゲージメントを生む」と考えており、39%が今後ソーシャルメディアとインフルエンサーマーケティングに予算の20∼30%を投資する計画を立てています。
⑤ カルチャーとの間のジレンマ
多くのマーケターは直感的に「現代のブランド構築はカルチャーを通じて行われる」と認識しているものの、それを継続的かつグローバル規模で実行できると確信している人は多くありません。81%のCMOが「これからの時代はカルチャーを通じたブランド構築が重要だが、その具体的な手法についての成功例がまだ十分に存在しない」と回答しており、また40%が「自社ブランドがどのように、またどの分野でカルチャーと信頼性をもって結びつくべきかを見極めることは大きな課題である」と感じています。
⑥ イノベーションの必然性
これまで実証されてきた手法の効果が薄れる中、イノベーションはもはや「あれば良いもの」ではなく「不可欠なもの」となっています。マーケターの40%が2025/2026年のマーケティング予算のうち、20∼30%をイノベーションに割り当てる計画を立てています。また、変化のスピードが加速し続ける現代において、90%が「イノベーションはサイドプロジェクトとしてではなく、最も差し迫ったビジネス課題解決に向けて行うべきだ」と考えています。
⑦ 人工知能と共に働く時代
AIはすでにCMOたちの日常業務に欠かせない存在となっています。今日、ほとんどのCMOが、リサーチの要約、コピーの草稿、思考の整理などのワークフローでAIを取り入れ、そのうち30%以上が日常的に活用しています。こうした状況は、エージェンシーの内部プロセスの透明性に関心を深め、料金モデルに関する新たな議論を生んでいます。同時に、AIと人間のクラフトやクリエイティビティに対する認識をも急速に変えつつあります。
⑧ 人間らしい体験とは
マーケターが従来のチャネルでの顧客との接触に自信を低下させる今だからこそ、体験はブランド構築の鍵なのです。たとえ未来の体験が現在とは大きく異なろうとも、その重要性は変わりません。CMOの86%が「現代のブランドは体験によって築かれる」と答える一方、興味深いことに73%が「AIによってブランド体験が薄れるかもしれない」と懸念しています。知的なパーソナライゼーションと革新的な新インターフェースが、クリエイティブなブランド体験を生み出す重要な鍵になると考えられています。
⑨ 賢くつながるコンテンツへ
単なるスケールの追求は、もはや魅力を失いつつあります。現代のCMOが求めているのは、効率と効果のバランスを取り、カスタマージャーニーを軸としたダイナミックで適合性の高いコンテンツを、適切なタイミングで適切なメッセージとして届けることです。しかし、世界のCMOの78%が「コンテンツ制作数は増えているものの、その影響力は低下している」と懸念しています。そして、CMOは、カスタマージャーニーや業務変革を深く理解している戦略的制作パートナーを求めています。
⑩ センスを信じよう
CMOは、自律エージェント型AIがカスタマーエクスペリエンスとパーソナライゼーションに飛躍的な進歩をもたらすと予測する一方、信頼とセンス、ブランド選好がこれまで以上に重要になると考えています。CMOの89%が「自律エージェント型AIの時代には信頼とセンスがかつてないほど重要になる」と回答しており、90%が「ブランドが消費者の“買い物かご ”に残り続けるためには、強いブランド選好が欠かせない」と認識しています。
※ オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、メキシコ、南アフリカ、スペイン、米国、英国
以 上
【リリースに関する問い合わせ先】
株式会社電通グループ グループコーポレートコミュニケーションオフィス 小嶋、島津
Email:group-cc@dentsu.com












