荒波が続き、観光客の足が遠のく冬の佐渡。だが、島の料理人は口をそろえる。「冬こそうまい食材がたくさんあるんだ」と。脂が乗ったブリにメジマグロ、滋味あふれるカモ料理…。プロが語る自慢の「サドメシ」について耳を傾けた。

真野の「ラ・パゴッド」シェフ ジル・スタッサールさん(58)

「ラ・パゴッド」シェフのジル・スタッサールさん

 冬、佐渡には、たくさんの野鳥たちが渡ってきます。カモもその一つ。フランス料理では「グランクラシック」といって、基本的かつ伝統的な食材です。

 佐渡に来る前から、一般的な食材として使っていました。佐渡には2022年春に移住し、その年の9月に店をオープンしました。カモを提供し始めたのは、2年目の冬から。信頼できるハンターとの関係を築くことがとても重要でしたから。ハンターには手間を取らせてしまいますが、捕ってきてもらったカモを見せてもらいます。脂の乗りや傷の有無などを確認して、納得がいくものを仕入れています。

 カモ肉は牛肉などと同じ「赤肉」に分類されます。一般的な鶏肉と違い、カモは処理後に血を抜かず体内に残しておくのが特徴です。その香りが、ジビエの豊かな風味なんです。

 特に、佐渡のカモをさばいていると、時々ドングリのような、森の香りがしてくるのです。フランスのカモは半分飼育されているものも多く、完全に野外で成長したものはなかなか手に入りません。その点では、佐渡で捕れるカモは自然の中で育っているのでとても貴重だと感じます。

 冬は動きが鈍くなるので脂の乗りが良くなりますし、...

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