
政府が大規模太陽光発電所(メガソーラー)への支援策の転換を打ち出し、県内で太陽光発電事業に取り組む事業者らが再生可能エネルギーの普及などへの影響を懸念している。ただ8日投開票の衆院選ではエネルギー政策を巡る論戦は低調だとして、関係者は太陽光発電と地域の共生や再エネ拡大についての議論を求めている。
強い海風が吹き込む新潟市西蒲区の越前浜。小高い砂丘地に発電用の太陽光パネルが並ぶ。面積は約1・9ヘクタール。パネルの下では鈴木農園の会長、鈴木忠孝さん(82)が牧草を育てている。農業生産と発電で土地を分け合うソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の取り組みだ。
発電は新潟市東区の事業者が担う。2017年の運転開始から発電は順調で、固定価格買い取り(FIT)制度を使って売電する。
鈴木農園常務の鈴木孝さん(60)は、耕作放棄地を活用した営農型の発電が広がれば「食とエネルギーの安定につながる可能性がある」と感じている。
再エネは、11年の東京電力福島第1原発事故後に導入されたFITなどを追い風に導入が進んだ。特に太陽光発電は国内の発電電力量の約1割を占める。
しかし今、メガソーラーには逆風が吹く。大量のパネルを設置するのに山林を切り開くようなケースもあり、環境破壊への懸念などから各地でトラブルに。政府は地上設置型の新規事業について、補助金廃止や規制強化を検討する。高市早苗首相は昨年9月の自民党総裁選で「補助金制度を大掃除する」と訴えたほか、その後の国会審議でも強硬姿勢を示している。
衆院選の公約では多くの政党が再エネの拡大や導入促進をうたうが、太陽光については規制厳格化の訴えが与野党いずれにもある。
県内で太陽光発電を行う事業者の男性(37)は「土地を有効活用して設置しており、山を切り崩しているわけではない」と強調する。「全ての太陽光発電に問題があるように見る風潮があり、困惑している」と声を落とす。
政府は太陽光発電への支援自体は継続する方針だ。発電量に占める太陽光の比率を40年度に23〜29%程度とする目標を掲げ、パネルを屋根に置くタイプや、薄くて軽量なペロブスカイト太陽電池の開発などに重点を置く。
「地域や国の将来に関わることなのに、エネルギー政策の議論がなされていない」。市民による発電事業に取り組む「おらってにいがた市民エネルギー協議会」の副代表理事、横山由美子さん(65)は、衆院選の現状を嘆く。
協議会は県内40カ所で屋根置きを中心に小規模な太陽光発電事業を行い、地域と共生しながら発電する「地産地所有」を重視している。横山さんは「設備の規模や発電の量ではなく、質や目的に応じた支援方法だってある。共生を後押しする仕組みづくりなど、もっと議論を深めてほしい」と求める。
再エネの普及促進を行う自然エネルギー財団(東京)の石田雅也研究局長は「乱開発するような事業には規制が必要だ」と、政府方針に一定の理解を示す。一方で「導入を加速しないと太陽光比率の目標は達成できない。そのための具体策を示す必要があるし、メリットの発信や自治体との連携も重要だ」と指摘している。...











