触媒データの解析と理解を助けるより良い方法を提供
2026年2月2日
Science and Technology of Advanced Materials: Methods
国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)内のSTAM編集室では、NIMSとスイスのEmpaが刊行を支援するオープンアクセスジャーナル「Science and Technology of Advanced Materials: Methods」誌(https://www.tandfonline.com/stam-m)から論文を厳選して紹介しています。
2026年1月29日に発表された論文の解説を、2026年2月2日に配信いたします。
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202601303344-O1-6V02XbQc】
図の説明:新たなツールは、触媒を記号的配列として表現する触媒遺伝子プロファイリングを利用し、プログラミングスキルを必要とせずにデータの解釈と触媒の設計を可能にする。
日用品として使われる化学製品の製造からクリーンエネルギーの実現やゴミのリサイクルといったグローバルな課題にまで、化学反応を加速する物質である触媒が欠かせない。しかし、様々な要因が複雑に絡み合ってその性能を決めているため、新しい触媒の開発は非常に難しい。
北海道大学の研究者らが最近、Science and Technology of Advanced Materials: Methodsに発表したウェブツールは、こうした困難を取り除くのに役立つに違いない。プログラムを開発する高度なスキルを必要とせずに、触媒についての多くのデータから、ある種のパターンあるいは触媒同士の関係を見出すことを可能にするのだ。
このツールは、著者らが以前に提案した、触媒「遺伝子」プロファイリングという方法に基づいている。この方法では、触媒を「遺伝子」のような文字列で表現することにより、データの解釈を容易にするとともに、文字列の配列に基づいた改良・設計ができる。開発されたツールはウェブを用いたグラフィカルインターフェースであり、直感的かつ対話的に触媒データを解析する方法を提供する。
研究を主導した髙橋教授は、「開発したシステムを使うと、プログラミングが全くできなくても、触媒についての複雑なデータ集から、全体的あるいは細部の特徴を見出すことができるのです」と語る。「触媒同士および「遺伝子」配列の特徴を可視化することにより、理解を容易にして触媒設計を効率化します。これによって、実験的知見とデータ駆動型解析のギャップが大幅に縮まるのです。」
研究チームはこのツールを触媒以外のデータ駆動材料研究へも適用しようと考えている。また、予測を行うこともできるようにしたいと考えている。モデル化あるいは「遺伝子」操作の仕組みを実装できれば、既存のデータを解析するだけでなく、より良い性能の物質のためのアイデアを検討するツールにもなるはずだ。さらに、研究チームは、多くの研究者が共同してデータ駆動型研究を効率的に実施できるコミュニティー向けの機能を盛り込むことも視野に入れている。
髙橋教授は言う:「究極の目標は、先端材料開発をもっと直感的でとっつきやすくして、めざましい成果につなげたいのです。」
論文情報
タイトル:Web-based graphical interface for catalyst gene design and profiling
著者:Kenshin Shibata, Mikael Kuwahara, Yoshiki Hasukawa, Fernando Garcia-Escobar, Lauren Takahashi & Keisuke Takahashi*
*Department of Chemistry, Hokkaido University, North 10, West 8, Sapporo 060-0810 Japan (E-mail: keisuke.takahashi[at]sci.hokudai.ac.jp)
引用:Science and Technology of Advanced Materials: Methods Vol. 6 (2026) 2600689
最終版公開日:2026年1月29日
本誌リンク https://doi.org/10.1080/27660400.2025.2600689(オープンアクセス)







