公共部門では、AIの活用が信頼できるAIを担保する安全策の整備を上回るペースで進行

データとAIのリーディング・カンパニーである米国SAS Institute Inc.(以下、SAS)は、最新調査レポート「Data and AI Impact Report: The Trust Imperative(データとAIのインパクトレポート:信頼のための必須事項)」( https://www.sas.com/en/offers/data-and-ai-impact-report/public-sector-data-ai-impact-report.html
)を発表しました。行政機関では、AI全体の活用度が予想以上に高まる一方で、信頼できるAIテクノロジーやガバナンスに対する公共部門の投資は立ち遅れています。これは、行政機関が不安定なデータ基盤の上に高度なAIを導入し、バイアスがかかったAIの判断、セキュリティ侵害、コストのかかる運用上の失敗が発生するリスクが高まる可能性を示唆しています。IDCの知見を踏まえたSASの本調査レポートでは、公共部門に関する課題を明らかにしています。

本レポートでは「信頼のジレンマ」、すなわち組織が信頼性の高いAIを持ちながら、それを信頼できずに活用を抑えてしまうという「過小活用」、あるいは十分に検証されていないAIシステムを過度に信頼してしまう「過剰信用」のいずれかに該当する状況です。この不整合の存在はあらゆる地域で明らかであり、行政機関におけるAI( https://www.sas.com/ja_jp/industry/government.html
)の効果的な導入を妨げる大きな障壁となっています。行政機関に関するこの最新レポートでは、複数の地域にわたるAIの利用状況や投資についての傾向と、さまざまな地域で信頼のギャップがどのように解消されているのかを明らかにしています。本レポートで取り上げた業界はすべて、信頼のジレンマを克服しようと苦戦していますが、公共部門にとっては、その独自の使命ゆえに信頼が不可欠です。

SASの公共部門担当シニアバイスプレジデントのグラント・ブルックス(Grant Brooks)は、次のように述べています。「公共部門がAIを活用していくためには、市民のウェルビーイング(幸福・健康)を守りながら、明確な価値を提供できなければなりません。市民や地域社会にこの価値をもたらすには、AIに関する意欲的な目標と、AIを活用するための準備態勢を一致させる必要があります。本レポートは、その実現に向けて取り組むべき課題があることを示しています」

本レポートには、北米、欧州、中南米、META(中東、トルコ、アフリカ)、アジア太平洋の地域分析が含まれており、各地域の公共部門のAIやデータインフラストラクチャ、成熟度、信頼できるAIの導入に関する調査結果や、「信頼のジレンマ」について解説しています。

AIのスピードと公的なアカウンタビリティのバランス
全世界の行政機関は急速にAIの導入を進めており、銀行、医療、小売などの主要業界よりも、エージェンティックAI( https://www.sas.com/en_us/insights/analytics/ai-agents.html
)の利用率が高まっています(52%)。しかし、本レポートでは、以下のような調査結果が明らかになっています。

「理想的な」状態、すなわちAIに対する社内の高い信頼と、実証可能な信頼性を備えたAIシステムの両方を実現している行政機関は、わずか6%でした。これは、調査対象となった業界の中で最も低い数値でした。
信頼できるAIを実現するための安全策を十分に活用していないにもかかわらず、AIを過度に信頼している行政機関は、38%に達していました。生成AIなど、まだ十分に信頼できるとは言えないAIシステムに対して強い信頼感を抱く組織の割合は、驚くほど高くなっています。

実際に公共部門の回答者は、生成AIを、機械学習(ML)よりもはるかに強く信頼しています。税務や不正検出といった機能において、MLの利用は長年にわたり実証済みであるにもかかわらず、行政機関のリーダーは、より説明可能性が低く、エラーが生じやすいテクノロジーのほうに大きな信頼を寄せています。

信頼できるAI( https://www.sas.com/ja_jp/company-information/innovation/responsible-innovation.html
)の実現という面で、行政機関は保険、銀行、ライフサイエンスといった業界に遅れを取っています。同レポートの「Trustworthy AI Index(信頼できるAI指数)」で最高レベルに達している行政機関はわずか15.3%であり、グローバル平均の19.8%を下回っていました。また行政機関は、信頼できるAIイニシアティブに対する将来の投資への期待が、銀行や保険会社よりも低いという結果が明らかになりました。

IDCのデータ、アナリティクス、AI、サステナビリティ、業界リサーチ担当バイスプレジデントのクリス・マーシャル(Chris Marshall)氏は、次のように述べています。「行政機関はAIの検証段階から業務での利用段階へと急速に移行していますが、特にシステムが公共の成果に影響を及ぼす場面において、信頼を当然あるものと想定すべきではありません。強固なデータ基盤や明確なガバナンスがなければ、AIに対する信頼が、実際の信頼性を追い越してしまい、市民や行政機関にとってリスクが高まる可能性があります」

公共部門におけるAIへの信頼のギャップを解消
一部の行政機関は、信頼できるAIの実務への導入を進めていますが、依然としてほとんどは、データの一元化、AIガバナンス( https://www.sas.com/en_us/solutions/ai/governance.html
)、および人材面での大きなギャップに直面しており、AIの潜在能力を十分に引き出せずにいます。行政機関におけるAI導入に向けた準備態勢と能力は、地域によって大幅に異なりますが、一致している点もあります。本レポートによると、以下が明らかになっています。

すべての地域で、AI導入の最大の課題として、一元化または最適化されたデータ基盤の欠如が挙げられています。
データガバナンスの欠如が2番目に重大な課題として挙げられることが多く、例外として中南米では4番目に挙げられています。

行政機関は、今後1年間におけるAI投資の拡大に強い期待を表明しており、20%を超える投資の増加を見込んでいる組織が12.6%、4~20%の拡大を予測している組織が半数近くに達しています。回答者は、AIのビジネス価値を実現する最も有望な方策として、プロセスの効率性と有効性を挙げています。さらに60%以上が個人の生産性を挙げており、調査対象の業界の中で最も高い数値となっています。

加えて行政機関は、専門的な技術チームよりも、一般従業員におけるスキルギャップを指摘する傾向が強く示された、唯一の部門でした。こうした課題を反映して、行政機関は、テクノロジーアーキテクチャと従業員スキル育成への投資を優先させています。

IDCアジアパシフィックのガバメントインサイト担当リサーチディレクターのRavi Kant Sharma(ラヴィ・カント・シャルマ)氏は、次のように述べています。「地域を問わず、多くの公共部門が、今後数年間でAI活用を拡大する積極的な計画を立てています。本レポートは、そうした組織が自らの課題を理解していることも示しています。インフラストラクチャと信頼できるテクノロジーの適切なバランスを実現するために投資することは、AI導入の成功に不可欠となります」

AIの可能性を市民への実証済みの価値へと転換させる、公共部門の取り組みについて詳しくは、ホワイトペーパー「How trustworthy AI transforms public service( https://www.sas.com/en/whitepapers/how-trustworthy-ai-transforms-public-service.html
)」を参照ください。

*2026年3月26日に米国SAS Institute Inc.より発表されたプレスリリース( https://www.sas.com/en_us/news/press-releases/2026/march/government-ai-idc-study.html
)の抄訳です。
本プレスリリースの正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語を優先します。

SASについて
SASはデータとAIのリーディング・カンパニーです。SASの革新的なソフトウェアと業界特化型のソリューションが、世界中のお客様にデータを信頼できる意志決定に変換するパワーを届けています。SASは「The Power to Know®(知る力)」をお届けします。

*SASとその他の製品は米国とその他の国における米国SAS Institute Inc.の商標または登録商標です。その他の会社名ならびに製品名は、各社の商標または登録商標です。