北朝鮮に拉致された横田めぐみさん=失踪当時(13)=の弟で、拉致被害者家族会の横田拓也代表は8月10日、東京都内で開かれた政府主催の拉致問題に関する「中学生サミット」で講演した。父の滋さんら被害者家族が次々と他界している状況に触れ「何としても親世代と会わせてあげたい」と早期の帰国実現を訴えた。
中学生に向けて「姉は皆さんと同じ頃に暴力的に拉致され、日本に帰って来ていない」と紹介。両親は必死にめぐみさんを捜索し、苦悩したとして「北朝鮮に姉の自由と明るい未来が奪われた。到底、許すわけにはいかない」と強調した。
拉致問題の風化について「誰かの話ではなく、自分の家族や自分自身が拉致されたらと考え、誰かに伝えてほしい」と危機感を示した。その上で「私たちは言葉の力でしか訴えられない。大切な姉を取り戻すため闘い続ける」と語った。
政府は若年層の啓発を目的にサミットを初開催した。拉致問題担当相を兼務する松野博一官房長官も出席し「国民が心を一つにして、全ての拉致被害者の一日も早い帰国実現への強い意志を示すことが問題解決の後押しになる」と述べた。
全国の都道府県と政令指定都市の教育委員会から推薦された中学生約60人が参加した。台風6号などの影響で、一部は出席を見送った。