死亡者を含む人的被害が相次いだことを受け、伊藤信太郎環境相は2月8日、クマを「指定管理鳥獣生息数増加や分布域の拡大で、深刻な被害を及ぼすなどの理由により、集中的かつ広域的に管理を図る必要がある対象として、環境相が定める鳥獣。指定され、各都道府県が事業計画を作れば、捕獲やその手法開発、生息状況調査などに対し国が交付金で支援する。現在はニホンジカとイノシシが対象で、夜間の銃による猟が禁止されないなどの特例も適用されている。」に追加すると表明し、都道府県の捕獲事業を支援する方向性を打ち出した。過去には過度な捕獲で個体数が激減した地域もあり、環境省の専門家検討会は被害を防ぎつつ、生息環境の改善などクマの「保全」の必要性も強調する両にらみの内容を提言した。政府や自治体には、これまでの制度の枠にとらわれない新たな取り組みが求められる。

 「人命への危機が差し迫った状況にある」。2023年11月、東北6県と北海道、新潟県による「北海道東北地方知事会」の会長を務める岩手県の達増拓也知事は、環境省を訪れクマを指定管理鳥獣に追加するよう強...

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