
新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)専属舞踊団「Noism Company Niigata(ノイズム)2004年4月、国内初の公立劇場専属舞踊団として発足。ページ下部に詳しい解説を掲載。」が設立20周年を迎えた。日本初で唯一の公共劇場専属舞踊団として活動し、芸術性の高い作品が国内外で高い評価を受ける一方、2019年には存続の危機にも直面した。20年間の活動の意義と、積み上げたものを未来へ生かしていくために何が必要なのかを探る。(報道部・水野八穂、金澤朋香)(4回続きの1)
張り詰めた空気の中で、ノイズムの舞踊家たちの鍛え上げられた身体が躍動する。演出振付家・舞踊家でノイズム芸術総監督の金森穣さん(49)は、時折音楽に合わせてうなずきながら、鋭いまなざしで見つめている。新潟市での20周年記念公演を控えた6月上旬、スタジオでの稽古にも熱が入っていた。
質の高い舞台を支えるのが、メンバーの高い身体性だ。「体と向き合うには時間が必要で、長い時間をかけて修業をしないとたどり着けない」。金森さんが東西の身体文化を融合させて構築した独自の訓練法を元に、鍛錬に鍛錬を重ねる。
専属舞踊団として行政が練習と創作に専念できる環境を確保することで、質の高い作品の創造と発信が継続できている。
新潟県外からの観客が4割超える作品も
「新潟から文化を発信し、新潟に人を呼ぶということが原点」。りゅーとぴあの開館準備やオープニング当時の事業課長としてノイズム設立にも関わった、元市職員の田代雅春さん(74)はこう振り返る。

1998年の開館前に行った調査では、新潟から東京の劇場まで鑑賞に行く人が多くいた。「専門ホールを造り、芸術家と一緒に新しい文化と未来をつくるという理念が一番大切だった。造って終わりでなく、その理念こそが新潟をいいまちにしていけると考えた」
その理念を体現するものが、ノイズムだった。...