新潟県の花角英世知事は2月12日、2025年度県一般会計当初予算案を発表した。24年度2月補正予算案と一体的に編成することで県民生活を下支えし、持続可能な成長を目指して切れ目のない支援に力を入れた。当面続く人口減少を踏まえた政策にシフトし、長期化する物価高や少子化に伴う子育て応援を軸に据えた。「持続可能な地域社会」や「脱炭素社会」など重点政策となる6本柱を中心に主な事業を紹介する。

◆[子育て支援]結婚→子育て支援、若者にPRで人口減少緩やかに      

 県は少子化に伴う人口減少対策として2024年度に引き続き、官民を挙げた「子育てに優しい社会の実現」を目指す。国と歩調を合わせた経済支援や育児環境の整備に力を入れる。

 結婚から妊娠、出産、子育てといった県民のライフステージに合わせ、目配りする。

 結婚のステージでは、若者に出会いの場を提供する応援プロジェクトを拡充し、同窓会なども支援の対象に追加。9148万円を計上した。

 妊娠・出産のステージでは、県内で生まれた全ての子どもに10万円分の定期預金を贈る事業と、子育てしやすい住宅の普及事業を継続する。

 25年度は子育てステージの支援策を新設する。新たに2億5千万円を充当し、放課後児童クラブに関する交付金事業を開始。小学校入学後に預け先がなく、保護者が離職を迫られる「小1の壁」に対応するため、市町村と連携し、利用料負担の軽減などを図る。

放課後児童クラブを利用する小学生=新潟市江南区

 子育て支援と並行して、若者や女性が住みたくなる地域づくりを推進する。

 県内大学の魅力を周知するとともに、学生が県内企業を直接知る機会を設けることで、学生の県内定着を狙う。新たな事業には3400万円を盛った。

 首都圏をターゲットにした新潟県への移住対策を拡充、強化する。楽天グループと連携し、新潟県への移住に関心がある人たちを選び、戦略的な広報を展開する。2943万円を計上し、効果的なU・Iターン政策を推し進める。

 女性が魅力を感じる新潟の実現にも本腰を入れる。女性が活躍している企業に対し、女性がさらに働きやすくなるような環境を整える費用の助成に向けて、8368万円を付けた。トイレの充実やシャワー室の新設などハード面を含めた利用を想定している。

◆[持続可能社会]JA県厚生連に約11億円、「しらゆき」利用者増へ新規策も

 県人口が減り続ける中でも持続可能な地域社会づくりを目指し、医療や公共交通、教育体制の再構築を進める。地域の担い手となる人材育成にも力を入れる。

 2024年夏に公表されたJA県厚生連の大幅赤字による経営危機。25年度の運転資金枯渇を回避するため、国の交付金も活用し、厚生連に10億9200万円を支援する。上越医療圏の病院再編を具体的に進めるための費用として新たに4400万円を付けた。

JA新潟県厚生連本部の建物=新潟市中央区

 公共交通に関しては...

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