
新潟県長岡市は2月17日、2025年度当初予算案を発表した。一般会計の総額は1452億6500万円で、24年度当初に比べて8・4%(112億8千万円)増えた。2年連続の増額。市街地再開発事業などで普通建設事業費が大幅増となり、物価高騰などによる物件費の上昇も総額を押し上げた。地域医療や教育環境の充実、産業の育成を推し進める。
2024年10月の市長選挙で当選した磯田達伸市長にとって、3期目初となる予算編成となった。記者会見で「中越圏域の『母都市』として拠点性を高め、『選ばれるまち長岡』をつくる予算にした」と語った。
重点施策は5本柱。「安心・安全、市民協働のまちづくり」に410億8千万円を計上。中核的な3病院の救急医療体制を維持し、地域医療や福祉の充実を図る。「子どもや若者の育ちと学びへの支援」に285億4千万円を充て、発達に特性のある子どもや不登校の児童生徒を支援する態勢づくりを進める。
「イノベーションによる産業の成長」に54億6千万円。新産業の創出と中小企業の資金繰り支援で、地域経済の活性化を図る。「長岡の歴史・魅力の発信と地域活動の推進」に66億5千万円、「持続可能な行政運営」に9億9千万円を盛った。

普通建設事業費は243億9598万円。「米百俵プレイス東館」建設や長岡戦災資料館の移転整備などに伴い、24年度当初比52・7%(84億2114万円)増となった。

歳入の柱となる市税は、24年度当初比4・9%増の393億円。財政調整基金を29億円取り崩し、25年度末残高は55億6471万円を見込む。
25年度当初予算案は3月4日開会の市議会3月定例会に上程される。
各分野の事業・予算は次の通り。
◆医療福祉・子育て
救急医療体制の維持に向け、長岡赤十字、長岡中央綜合、立川綜合の3病院の運営費支援に計3億9千万円を充てる。24年度当初比で1億円増額し、患者数減少などに直面する病院経営への支援を手厚くする。

中山間地でのオンライン診療を、山古志地域以外でも推進。民間医療機関がオンライン診療車を活用するモデル事業の試行に、340万円を新たに盛った。
特別支援教育の充実には4億8553万円を充てる。「発達支援アドバイザー」1人を、市教育委員会に新たに配置。対象となる児童生徒の指導計画作成を支援する「インクルーシブ教育ソフト」を、市内3小中学校に先行導入する。
小中学校に登校はできるが教室に行けない児童生徒が過ごす「校内教育支援センター」に、専門の支援員を配置する。2045万円を新規で計上。市内4中学校区でモデル実施する。
◆産業・DX
人材確保策や人工知能(AI)の活用による産業界の支援に力を入れる。
従業員の奨学金返還費用を負担する企業を対象にした補助金を新設するため、1022万円を計上した。

2024年に開所した「ながおかDXセンター」を拠点とし、事業者に役立つAI導入の在り方を検討。企業間や産学連携の促進にもAIを活用する。関連予算は合計で約1千万円を見込んだ。
長岡市栖吉町の「あぐらって長岡」に設けた次世代型園芸ハウスで、実証栽培などを展開する「長岡版スマート施設園芸」に1234万円を付けた。
◆防災・まちづくり
JR長岡駅周辺の中心市街地の浸水被害を軽減するため、市内最大規模となる雨水貯留施設の整備に着手する。学校町1の...