
小学校の臨時免許を取得し、授業に臨む寺尾舞子さん。県内でも臨時免許の活用が進んでいる=2月、胎内市
通常の免許を持つ教員を確保できない場合に、各都道府県の教育委員会が例外的に交付する「臨時免許」の活用が新潟県内でも進む。教員のなり手が不足する中、新潟県も欠員解消の切り札に位置づけ、子どもの指導経験や人物像を見極めて交付している。ただ、より透明性を高めるため、県議会からは「明確な基準を定めた要綱を作るべきだ」との意見も出ている。(報道部・天谷友紀)
「得意な人、苦手な人が一緒に演奏できるのが合奏の良さだよ」-。胎内市立中条小学校4年生の音楽の授業。この春まで1年間、ピアノやリコーダーを演奏しながら授業を担当してきたのは、小学校教員の臨時免許を取得した寺尾舞子さん(35)だ。
かつて中学校でも教員を務めていたが、2023年度に臨時免許を取り、24年度は中条小で教壇に立った。松原利弘校長は「中学校の教員の経験があり、音楽の専門性もある。やんちゃで元気な子どもたちにも負けないよう、工夫した指導をしている」と評価する。
寺尾さんは「今はもう少し、小学校で先生をやってみたい思いが強い。もし中学校の先生に戻ることがあっても、小学校の経験は生きる」と感じている。
▽欠員数は過去最多
県教育委員会は昨年12月の県議会で、新潟市を除く県内公立小中学校の教員欠員数が12月1日時点で60人に上り、過去最多になっていると説明。育休取得や病気による休職を穴埋めできていないのが現状だ。
県教委によると、23年度の臨時免許交付件数は、幼稚園や小中高、特別支援学校などを含め397件。全国で7番目に多かった。21年度は...
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