水俣病患者団体との懇談に臨む浅尾慶一郎環境相=4月30日、熊本県水俣市
水俣病患者団体との懇談に臨む浅尾慶一郎環境相=4月30日、熊本県水俣市

 新潟水俣病の公式確認から60年となる31日に新潟市中央区で開かれる式典に、浅尾慶一郎環境相が出席する方向で調整していることが15日、関係者への取材で分かった。県や被害者団体が出席を求めていた。被害者団体との懇談の場も設ける方針。

 環境相の式典参加は、公式確認から50年の2015年に、当時の望月義夫環境相が出席して以来10年ぶりとなる。

 浅尾氏はこれまでの会見で式典への出席について「関係団体との懇談の実施を含め、公式確認から60年という節目の年ということも踏まえて、その時の状況や日程を踏まえつつ検討したい」と述べ、明言していなかった。

 環境省特殊疾病対策室は15日、新潟日報社の取材に「これまで大臣が答えている通り調整している段階だ」とした。

 式典は被害者団体や県、環境省などでつくる60年事業実行委員会が主催し、被害者団体や花角英世知事、阿賀野川流域の首長らが出席予定。原因企業の昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)関係者の参加も調整している。

 熊本県での水俣病被害者団体との懇談で環境省側が発言を遮断した問題から約1カ月後に開かれた昨年5月31日の式典には、国定勇人環境政務官(当時)が出席した。熊本の慰霊式には毎年環境相が出席していることから、県内の被害者団体は「新潟は軽く見られている」などと批判。7月に伊藤信太郎環境相(当時)が来県し、県内の被害者団体と懇談した経緯がある。

 その懇談では団体側は救済されていない被害者も多いとして、患者認定基準の見直しなどを求めた。

◆大臣の出席求めてきた被害者団体、「しっかり被害者の声を聞いてほしい」

 31日に新潟市で開かれる新潟水俣病公式確認60年の式典に、浅尾慶一郎環境相が出席する方向で調整していることが明らかになった15日、本県の関係者からは「当然だ」「被害実態を訴えたい」などの声が上がった。

 新潟水俣病の被害者ら...

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