
人口減少が進む県内で、投票所の統廃合が進んでいる。新潟日報社のまとめでは、県内は20日投開票の参院選の前後で、7市村が投票所の設置数を減らした。投票事務に立ち会う投票立会人の確保が難しく統合を望む住民の声を受けた例のほか、事務を担う職員の減少から行政主導で再編を決めた自治体もある。専門家からは、投票の機会を失わないよう自治体に工夫を求める意見も出ている。
県内では、長岡市や上越市などで今参院選を機に投票所を統廃合し、計32カ所が減った=表参照=。
長岡市では住民から「立会人の確保が大変」などの声を受け、栃尾地域などで投票所を廃止。建物の老朽化による再編と合わせ、8カ所減った。長岡市選挙管理委員会は「今後も地域から要望があれば見直しを検討する」とする。
上越市は柿崎区に三つあった投票所を1カ所に統合。小千谷市も1カ所を廃止した。いずれも立会人不足による地元の求めを受けた措置だという。
一方で村上市、佐渡市、関川村はいずれも、行政主導で投票所を再編した。
村上市選管は「人口減と高齢化が進み、投票所が点在している状況では将来的な持続が難しい」と説明。市では2023年に投票所の再編計画を決め、有権者100人未満の投票区10カ所について住民説明会を行った。
村上市では投票所がなくなった地域について、バス内で投票できる移動期日前投票所を開設した。
山形県との県境に近い村上市山北地区の山熊田集落では8日午後の1時間、高齢者らが投票箱が設置されたバスに乗り込み、期日前投票を行った。

投票した山熊田集落元総代の男性(81)は「統合先の投票所は車がない高齢者には遠く、期日前投票できるバスが来てくれてありがたい」とし、投票所の廃止について「以前から立会人を出すのが大変な状況はあり、仕方ない」と話した。
県選管理委員会によると、県内の投票所数は04年参院選では1724カ所だったが、市町村合併後の16年の参院選では1461カ所。昨年10月の衆院選では1370カ所あったが、今参院選では1337カ所となっている=グラフ参照=。阿賀町では立会人の確保が難しいとして4月の町議選から1カ所減らした。

新潟大の益田高成准教授(31)=政治学=は自治体が投票所運営に苦労する実態に理解を示しつつ、「投票所が減ると投票率が下がるとの研究がある。期日前投票は熟慮の時間が短くなり、選挙期間中の不祥事などがあれば住民の意見が変わることもあり得る」と指摘。鳥取県で実施された立会人業務をパソコンなどで遠隔地から担う「オンライン立ち会い」や、立会人公募の拡充など、...