
「舞台はパズルを組み合わせていくようなもので、やぶの中を進んでいくような感覚が演出の面白さ」と語る戸中井三太さん
新潟市西区在住の演出家戸中井三太さんが、2001年の発足時から携わってきた新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ、中央区)の子ども劇団「APRICOT(アプリコット)」の演出を、8月の夏季公演をもって引退する。戸中井さんは約24年間の活動を振り返り「演劇でできることの可能性の大きさに気付かされた。出会いに感謝したい」と語った。
アプリコットは、現在県内に住む小学5年〜高校3年の約50人が所属。りゅーとぴあでの定期公演が主な活動だ。これまで俳優でモデルの馬場ふみかさんやタカラジェンヌといった著名人のほか、演出家やボイストレーナーなど舞台裏を支える分野でも人材を輩出してきた。戸中井さん引退後は、卒団者の三浦真央さんが演出を引き継ぐことになっている。
「一つ一つの舞台が特別で、前に使った方程式では解けないのが演劇の面白さ」と戸中井さんは語る。アプリコットの演出は、りゅーとぴあから打診を受けたのがきっかけだ。新潟大在学中に立ち上げた劇団カタコンベの運営が忙しく一度は断ったが、再度の打診を引き受けてみると、予想できない子どもたちの演技に引かれ、やりがいもあった。
これまで全作品で...
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