”量”を追求する時代から、送電網を安定させる”質”の時代へ

ABB日本ベーレー株式会社(本社:静岡県伊豆の国市、代表取締役:三浦哲雄、以下「ABB日本ベーレー」)は、2025年11月6日、「APAC Energy Transition Readiness」調査より、日本を含むアジア太平洋地域におけるエネルギー移行の現状と今後の動向を示す主要なデータを発表しました。同調査は、12市場におけるエネルギー消費が高い10の産業を網羅しており、組織の技術導入、持続可能性、電化または自動化の戦略担当リーダー 4,085名が回答しています。

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202511068587-O1-rVUghit7

 

• アジア太平洋の組織の65%が「エネルギー移行は十分な速度で進んでいる」と回答

• エネルギーの移行・転換が加速するには、6割を超える調査対象者が「より強力な政府の
   インセンティブ」や「送電網インフラに関するより広範な地域間協力」の必要性を指摘

• 特に、技術面での課題「電力グリッドの信頼性向上」に対しては、人工知能(AI)と自動化
   ソリューションがその解決に必要な「イネーブラー(鍵)」 であると認識

 

ABBのエネルギー産業部門が実施した業界調査「APAC Energy Transition Readiness Index(アジア太平洋エネルギー移行準備指数)2025」によると、アジア太平洋のエネルギー戦略担当リーダーの65%が、低炭素エネルギーへの移行・転換は「十分なペースで進んでいる」と回答しています 。また、73%が自組織の設備投資の1割超をエネルギー移行の加速に割り当てる計画であるとするなど、旺盛な投資意欲が見られました。

 

日本の回答においても、62%が「5年以内にクリーンエネルギーへの投資を2割以上増強する」ことを計画しているなど、将来の目標達成にコミットする強い意思がうかがえます。

 

今後、エネルギーの移行・転換が加速するには、49%の調査対象者が「環境に配慮した知識・技術・態度の人材不足」により、リスキリングを強化する必要があると認識しているだけでなく、6割超が「より強力な政府のインセンティブ」や「送電網インフラに関するより広範な地域間協力」の必要性を指摘しています。

 

一方、再生可能エネルギーの容量、エネルギーの貯蔵や効率など、「電力グリッドの信頼性向上」という技術的な課題に対しては、デジタル化・自動化・電化がその強靭性(レジリエンス)を高める主要なレバーとなりつつあることが確認されました。エネルギー消費が高い産業における日本企業の37%が「デジタル化」を、34%が「自動化」を最も重視する投資対象に挙げ、合わせて61%が、AIと自動化を「脱炭素化に決定的な変革をもたらすもの(22%)」または「既存プロセスを大幅に強化するもの(39%)」とみなすなど、デジタル変革(DX)とグリーン変革(GX)の戦略の融合が鍵(イネーブラー)であることが、改めて示唆される結果となりました。

 

発表にあたって、ABBアジア地域エネルギー事業プレジデントのアンダース・マルテセン (Anders Maltesen) は、次のように述べています。

 

「日本は、技術革新とデジタル化を原動力とする、変革的なエネルギーシフトの最前線に立っています。日本企業は、信頼性、安全性、持続可能性を高めるために、自動化、電動化、AI主導のデジタルソリューションの導入をリードしており、それにより、日本はアジア太平洋地域におけるエネルギー効率と成長の新たなベンチマークを確立できる立場にあります。」

 

また、ABB日本ベーレー代表取締役の三浦哲雄は、「回答者の61%が、AIと自動化がエネルギー移行の”エネーブラー”と見られているというところに、非常にポジティブな印象を持ちました。これは、まさに発足したばかりの高市新政権が掲げるGX(グリーン・トランスフォーメーション)とDX(デジタル・トランスフォーメーション)の一体的推進、そしてエネルギー安全保障の強化という国家戦略と一致するものだと考えています。再生可能エネルギーは、もはや”量”だけを追求する時代は終わりました。アジア太平洋のエネルギー移行に向けた投資が加速・強化する中、これからは、既存のエネルギー資産をAIで最適化し、自動化技術で送電網を安定させる”質”の時代が始まります。日本の強みである高品質な現場の制御技術と、ABBがグローバルで培ってきたAI、自動化、電化を融合させること。これこそが、日本のエネルギー課題を解決するだけでなく、アジア太平洋地域全体の持続可能性と経済安全保障に貢献する、日本の確かな”答え”になると確信しています」と述べました。

 

 

ABB日本ベーレーについて

ABB日本ベーレー株式会社は、スイスに本社を置くグローバル技術企業ABBグループのプロセスオートメーション本部の日本法人として、1980年から40年以上にわたり日本の電力・産業分野における制御システムを提供しています。 130年以上にわたる卓越した技術と世界で約11万人の従業員を擁するABBは、産業変革を加速するイノベーションの推進に取り組んでいます。

 

APAC Energy Transition Readiness Indexとは

この指標(APAC Energy Transition Readiness Index)は、ABBのエネルギー産業部門が委託した業界調査であり、アジア太平洋地域におけるエネルギー消費量の多い特定の産業における企業のエネルギー転換がどの程度進展し、また推進しているかをベンチマークすることを目的としています。アジア太平洋地域の電力の半分以上を、産業界が消費しており、気候変動対策の目標達成には、産業界におけるエネルギー消費の変革が不可欠です。調査は、アジア太平洋地域の12の市場と10の産業を網羅し、企業の持続可能性、デジタル化、電化、自動化戦略を担当するエネルギー変革推進リーダーたち、約4,000人が調査に回答しています。レポート(英文)は、こちらからダウンロードいただけます。