ギャローデット大の卒業式に参加した川俣郁美さん(左から3人目)=2013年、ワシントン(本人提供)
 ギャローデット大の卒業式に参加した川俣郁美さん(左から3人目)=2013年、ワシントン(本人提供)
 不透明な学長選考プロセスに抗議し、ろう者の学長就任を求めるギャローデット大の学生ら=1988年3月、ワシントン(同大提供)
 川俣郁美さん(前列右から4人目)とギャローデット大の同級生ら=2007年、ワシントン(本人提供)
 ギャローデット大の歩み

 「世界唯一」を称する、ろう者のための総合大学が米ワシントンにある。私立ギャローデット大は手話を体系化された言語と考え、講義や研究を進める上での共通語として使用する。1980年代に「ろう者による公民権運動」と評される取り組みを成功させ、教育の在り方も変革した。ろう者コミュニティーの拠点になっており、15日開幕の聴覚障害者の国際スポーツ大会「東京デフリンピック」の米選手団の4割を同大の学生や卒業生、職員らが占める。

 ▽学長

 9月中旬に大学を訪れると、キャンパス内は静寂に包まれていた。学生だけでなく、道案内のスタッフや移動用車両の運転手もみな手話で意思疎通する。教員約150人のうち半数はろう者や難...

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